「3月末に宣言を出して同じように行動の変化が起こっていれば、4月半ばには現状のレベルまで感染者数を抑え込めていたのではないか。経済を止めることへの躊躇から発出が遅れたのでしょうが、結果的にさらに経済的損失を大きくしてしまったのは悔いが残る結果です」 二つめは、リスクの違いが考慮されなかったことだ。 「専門家会議が示していた指数関数的な感染爆発が起こるというモデルでは、感染しやすい人、重症化しやすい人など感染リスクの質的な違いが考慮されません。結果として都道府県単位で等しく自粛要請などが行われましたが、それでは感染から遠く離れた人の生活まで危機にさらされます。リスクの差異に応じたメリハリのある政策が必要なのです」 より手厳しい指摘をする専門家もいる。「緊急事態宣言は全く不要だった可能性がある」と話すのは、医療ガバナンス研究所理事長で内科医の上昌広医師だ。 「東京の超過死亡数を見ると、感染は2