<この国はどこへ行こうとしているのか> 近く行われる衆院選。自民党が「政権担当能力」を突きつける一方で、民主は「政権交代」を掲げる。では、日本の現状の問題点は何なのだろう。3回シリーズでお届けする。【中山裕司】 ◇育て「コミット」力 ペットボトルを片手に社会学者、宮台真司さん(50)は現れた。ハンチング帽にTシャツ姿。東京・赤坂の雑踏がよく似合う。ビルの谷間にある小さな公園で、今の日本を語り始めた。 「民主政治は本当にひどい政治制度だけれど、最悪よりかはマシという程度。日本人は民主制への誤解がある。『みんなで決めたことは正しい』『みんなで決めることはいいことなんだ』という幻想が強過ぎる。衆愚政治に対する危機感覚が乏しいのです」。チャーチルの有名な言葉、「民主主義は政府の最悪の形態。ほかのあらゆる形態を除いて」も引用した。 足りないものは何だろう。「衆愚に陥らないエリートをどう育てるかに無関