もしもしそこのあなた、貧乏暮らしは好きですか。 貧乏が好きという人はいないだろうが、文学や芸術のためなら「貧乏、上等!」と貧困に甘んじた芸術家たちは古今東西、枚挙に暇がない。 放蕩好きのバルザックや博打好きのドストエフスキーは生涯借金生活から逃れられなかったし、直木賞の直木三十五は事業の失敗で莫大な借金を背負った。もとよりそうした人種は、「金もうけより自己表現」のための破滅もよしとしているふしがあり、ある意味、貧乏とは相性がいい。 だが、いくら生活苦や借金苦を文章にしたためようと、実際に飢えて死んだ芸術家たちはそう多くない。大抵は病死か自殺か狂死。もちろん天寿を全うした芸術家だって大勢いる。 ということは、芸術家たちは歴々、裕福とは言い難くても、好きなことをしながら生活を賄えるくらいには稼ぐ力もあったわけだ。 時代を現代に移せば、山本一力は2億円もの借金を筆一本で返したというし、ブランド品
![飢えない程度に「自分らしさ」を貫くには~『貧乏するにも程がある』 長山靖生著(評:三浦天紗子):日経ビジネスオンライン](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/05f492a9ba706b05ca8fd61b1840b099fb59fdc9/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fbusiness.nikkeibp.co.jp%2Fimages%2Fn%2Fnbo%2F2011%2Fcommon%2Fnbologo_ogimage.png)