日本学術会議の会員改選で、推薦された105人の候補者のうち、菅義偉首相は6人を任命しなかった。学問の自由を脅かす異例の政治介入に対して批判が高まっている。排除された一人、松宮孝明・立命館大教授(刑事法学)は「学者をなめ、学術会議をこけにした」と憤り、「この介入を押し返さないと、歯止めがきかなくなる」と早期の撤回を求めている。【栗原俊雄】 「えらいことをやってきたな」 --任命されなかったことを知った時、どう思いましたか。 ◆日本学術会議の事務局から電話で伝えられましたが、まず驚きました。まったく予想していなかったので。少し冷静になって思ったのは、「えらいことをやってきたな」と。人事に手をつけてきたのは官邸の人たちでしょう。まず法律が分かっていない。日本学術会議法第7条と17条では、会員の選び方について、学術会議の推薦に基づき内閣総理大臣が任命する、と定めています。推薦に基づかない任命を首相