3月8日の深夜、愛知県の航空自衛隊小牧基地から飛び立った1機の自衛隊機。 載せていたのは、ロシアの侵攻を受けているウクライナへの支援物資、自衛隊の防弾チョッキとヘルメットだった。 日本が、まさに武力衝突が起きている国に、しかも、武器=防衛装備品の防弾チョッキを提供することは、前例がなかった。 どのようにして前代未聞の支援が決まったのか、関係者への取材から深層に迫った。 (立石顕) きっかけは1通のレター 2月末、防衛大臣・岸信夫の手元に、英語で記された1通のレターが届いた。 差出人は、ウクライナ国防相のレズニコフ。 直筆のサインも添えられていた。 「ウクライナ国民とウクライナ軍はロシアからの全面侵略を撃退している。親愛なる閣下に対し、この機会に、ウクライナへの最大限の実用的な支援、すなわち防御用の兵器、兵站、通信、個人防護品の物品供与をご検討いただけないか、お願いします」 レターの日付は2