憲法学のなかでは、日本国憲法第9条は人間がもつ新しい権利にかかわっているという議論がなされることがあります。そこでは、次のような主張がしばしばなされます。「平和的生存権と呼ばれるこの権利は、20世紀前半にその萌芽が芽生え、9条によってついに具体的なかたちをもつようになった」。 そもそも、人類は歴史の歩みとともに、それぞれの人間に保障される権利を加えつづけてきました。たとえば、このブログではここ1ヶ月ほどのあいだ、憲法と国のかかわりについて論じてきましたが、もし僕が600年前のヨーロッパに生まれていたとしたら、弾圧されたりしないように、もっとずっと気をつけて書かなければならなかったことでしょう。もちろん、永遠平和について論じることなどは、たいていの場合はNGです!僕も、時代が時代なら、「わが君主の闘いぶりはまことにすばらしい」と書かなくてはならなかったかもしれません。200年前の哲学者たちで