最近、トム・ニコラス著『アメリカのベンチャーキャピタル史 (原題: “VC: An American History”・未訳)』を読み始めました。まだ第一章しか読めていませんが、とても興味深いです。 本書は、ベンチャーキャピタル(以下VC)業界と18〜19世紀の捕鯨業界の比較から始まります。著者によると、このふたつの業界は驚くほど似ているというのです。18〜19世紀のころ、捕鯨は魅力的な商売でした。クジラからとれる鯨油は、灯油や潤滑油として大いに役立ったからです。捕鯨は危険な上、多額のコストがかかりましたが、ひと山当てれば莫大な利益を見込めるものでした。いつか大金を得る日を夢見て、仲介業者たちはこぞって富裕層から資金を募り、長いあいだ漁に出てくれる船長や船員を確保したのです。仲介業者たちは投資家より船長たちのことに詳しく、トップクラスの仲介業者は、最も有能な船長を確保することができました。