Winny事件の担当弁護士・壇 俊光氏による『Winny 天才プログラマー金子勇との7年半』が出版された。 筆者は壇氏が今年1月に政策研究大学院大学で講演した時の模様を「『ウィニー事件』弁護人の話に思う、平成日本の敗因」で紹介した。内容の重複もあるが、著書の文章を引用しながら5回にわたって連載する。 栄光無き天才(「帯文」より) 帯文は「栄光無き天才 金子勇の無罪までの道のり」である。その「栄光無き天才」ぶりについて筆者は昨年の投稿「『平成の敗北』と重なるWinny開発者金子勇氏の悲劇」(以下、「金子勇の悲劇」)で金子氏とのやりとりを以下のように紹介した。 2012年4月、幕張メッセで金子氏の講演を聴いた私は、質問の冒頭で、「金子さんは日本人に生まれて不幸だったかもしれない。なぜなら欧米版Winnyを開発した北欧の技術者は、金子さんのように後ろ向きの裁判に7年半も空費させられることなく、そ