――大リストラの波は、非正規社員のみにとどまらず、正社員にも押し寄せた。 不安に揺れる30代、40代が、心を閉ざし始めている。 編集部 大重史朗、古川雅子―― 眠れない。新聞の文字が頭に入らない……。 不動産会社で営業を担当する男性(28)が自身の異変に気づいたのは、昨年秋のことだ。 サブプライム問題の影響をもろに受けた会社は、新たなリストラを宣言したところだった。かつてのリストラで職場を離れていった同僚の顔が浮かぶ。 「自分もいつか……」 そう思うと仕事が手につかなかった。その上、リーマンショック以降、営業成績は一向にあがらない。プレッシャーで押しつぶされそうな毎日だった。 心療内科でうつ病と診断された。現在は休職して治療中だ。 大企業が次々と人員削減を発表し、雇用不安は派遣など非正規社員から正社員へと広がる。大不況のあおりで働き盛り世代に心の閉塞感が強まっている。 ■3タイ