孫正義氏が、太陽光発電などの再生可能エネルギーの普及を促進する「自然エネルギー財団」を設立すると発表した。震災の被災者に100億円を投じた上にエネルギー開発に10億円を投じる行動力には敬意を表するが、この財団は的はずれである。 以前の記事でも説明したように、日本のエネルギー政策が混乱してきた一つの原因は、何よりも先に「原発か反原発か」あるいは「化石燃料か再生可能エネルギーか」というイデオロギー対立があり、経済成長のためにどういうエネルギーのポートフォリオが最適かという戦略が置き去りにされてきたことにある。 経済学的にいえば、目的関数はエネルギーの(安全性を内部化した)効率性であり、社会的コスト当たりの発電量を最大化することだ。もう一つの変数は、地政学リスクなどに対応するオプション価値である。この二つの変数で最適化すると、原子力と化石燃料をベースロードに使い、分散型の再生可能エネルギーはその