1989年、アメリカでは犯罪件数がピークに達し、凶悪犯罪は過去15年で80%も増加していました。 多くの専門家たちは、これからも犯罪が増え続け、将来は大変な状況になると予測していました。ところが、1990年代に入って犯罪発生率が下がり始めたのです。誰もこんなことは予測できませんでした。いったいアメリカで何が起きたというのでしょうか? 犯罪学者や警察、その他の専門家たちは、いかにも効果のありそうな原因をあげました。好景気による失業率の低下、警察官の増員、銃規制の強化、麻薬市場の変化、人口の高齢化・・・どれも効果がありそうです。そして実際に少しは効果があったのでしょう。 しかし、犯罪が減少した決定的な要因は、思いもつかない所にありました・・・ 1820年以降、女性の健康への配慮から、妊娠中絶を禁止する動きが活発化し、1960年代までにほとんどの州で妊娠中絶が禁止されていました。その後、1970