2022年11月にエジプトで開催されたCOP27では、引き続き脱炭素目標実現に向けた決意が各国首脳から表明されている。一方、これまで二酸化炭素(CO2)を排出してきた先進国に対して新興国での「損失・損害」への資金支援が求められるなど、今後、先進国は自国のCO2削減にとどまらない貢献が求められつつある。本稿では、改めて日本の運輸部門が自国の脱炭素化、新興国の支援を推進する上での要諦を考察したい。 国立環境研究所によると、わが国の運輸部門におけるCO2直接排出量は2020年度時点で17%、そのうち自家用乗用車由来が約半数、貨物自動車が約4割を占めている。そのような中、昨今世界的に電気自動車導入の気運が高まっているものの、資源高などにより車載電池コストが高止まりしうることや、相対的に大型商用車の電気自動車化は経済性が成り立ち難い、再生可能エネルギー化が進まないと導入効果が限定的となるなど、不確実