『カントの人間学』はフーコーが博士号取得のための主論文として書いた『狂気の歴史』と一緒に提出された副論文であり、カントの『人間学』を読解したその軌跡には後のフーコーのテーマが既に内包されている――。 ……と概要は非常に魅力的なんだけど、内容はなかなかに読み解きにくい。本文は160ページちょっとしかなくてコンパクトにまとまってる読みやすいフーコー入門……という説明もたしかに一面においてはあってる。しかし中身が凝縮されすぎていて「そこもうちょっと詳しく説明入れてくれん?」となる部分が多々ある。 また、扱われているカントの『人間学』もあんまり読んだことある奴はいないであろう。日本語で読むには全集しかないし、カントの解説書のたぐいもほぼ三批判書に終止するので。そういう面でも読みにくさがある。 ★★★ 本のテーマはシンプルと言えばシンプルである。要するに、『純粋理性批判』『実践理性批判』『判断力批判