少し前に読み終わって、これはいい本だなーと思うので紹介しておく。 Fiction and Fictionalism (New Problems of Philosophy) 分析哲学でも、フィクションを巡る研究というのは非常に多様化していて、一人の著者がその全貌を紹介するというのはだんだん大変になってきている。 例えば、スタンフォード哲学事典の「フィクション」の項目はそんなに悪くない記事だが、大部分キャラクターの名前の指示に関する意味論上の問題やキャラクターの存在論に終始していて、例えばフィクションの定義を巡る議論はあまり紹介できていない。 その点この本はかなり幅が広いのがいい。フィクションの定義からはじまり、存在論を丁寧に追い、フィクショナリズム(虚構主義)の紹介までしている。少なくともフィクションの哲学の教科書としては一番アクセスしやすいものだろう。 強いてあげれば、フィクション感情の