否定派の常套句の一つに「朝日新聞が南京大虐殺を捏造」したというものがあって、朝日叩きの主要なネタの一つになっているのはみなさんご承知のとおり。ところが、「朝日新聞が“慰安婦20万人強制連行説”の源泉」というのがガセであったのと同じく、否定派による朝日の南京事件報道批判にも捏造っぽいものが多々ある。先日、「朝日が南京事件犠牲者三〇万人説を報じた」「最近になってようやく三〇万人は多過ぎると言い出した」と書いてあるブログを見つけたので*1調べてみると、実際には南京の大虐殺記念館のオープンを伝える記事(1985年8月16日)のなかで引用されている南京市長の発言の中に「30万人」という数字があっただけだったりする。また、「最近になって」どころからすでに1991年1月19日夕刊の「窓・論説委員室から」に、次のような一節があったりするのである。 歴史学者の秦郁彦さんは「今となっては正確な被害統計を得るこ