中部電力は7月22日、菅直人首相の唐突な緊急要請で全面停止した浜岡原発の防潮堤を、東日本大震災後に公表していた従来計画より6メートル高い18メートルとする新たな津波対策を発表した。 「(浜岡の停止は)一時的に不利益になるが、安全性を高めることは最終的に株主のプラスとなる」。中部電の水野明久社長は事あるごとにこう繰り返してきた。約1千億円を投じる今回の津波対策は、この言葉を形にしたものだ。 しかし、工事が予定通り来年12月までに完了しても、運転再開できるかは不透明だ。これも菅首相が唐突に打ち出した、再稼働の条件としてのストレステスト(耐性検査)が重い枷(かせ)になっている。なにしろ安全性の最終評価は「政治判断」で下されるというのだ。 □ □ □ 「安全かどうかを判断する尺度は、いったいどうなっているのか」 7月15日、原子力安全委員会終了後の記者会見では、ストレステストの素案をめぐり、質