「いまひとつ地味だし、近年は登録抑制の傾向にあるから……」との一部下馬評にもかかわらず、今年、世界文化遺産への登録が確実になった富岡製糸場と絹産業遺産群*。「800年以上の歴史をもつ鎌倉は落選したのに、なぜ?」との疑問がさらに一部から上がった。「武家の古都(Kamakura, Home of the Samurai)」をコンセプトに掲げ、世界遺産登録を目指した鎌倉がイコモス(国際記念物遺跡会議。ユネスコの諮問機関として、世界文化遺産候補地について登録の可否を事前審査する)から「不登録」の勧告を受けたのは、「富岡~」の歓喜にさかのぼることほぼ1年、昨年4月30日のことだ。 鎌倉に何が足りなかったのか「日本に初めての武家政権が樹立され、貴族支配に代わる新しい体制から数々の文化や伝統、生活様式が生み出された場所」として、その価値をアピールした鎌倉。落選の最大の理由は「物的証拠の少なさ」だった。三