このところ春の決算シーズンのたびに資金繰りに窮している日本航空(JAL)に対して、また今年も、安易な問題先送り型の延命策が講じられた。日本政策投資銀行が6月末までに実施したJAL向けの融資の8割を政府が保証するという異例の支援が今年のバージョンで、自力で経営しているライバルの全日空が文書で「政策上、公平を欠く」と再考を申し入れる場面まであった。 「100年に1度」と言われる経済危機の最中だけに、今は大型倒産を防ぎたいと政府が判断したことを、筆者もばっさり間違いだと決めつけるつもりはない。 しかし、国民の税金を危うくする支援を受けたのだから、その経営責任を明確にするため、JALの西松遥社長らは引責辞任をするべきだった。 また、今後も、国民の税金を無為な支援に費やす事態を繰り返さないためには、矛盾だらけなのに長年放置されてきた交通政策全般の抜本的な見直しに速やかに着手する必要もあった。