ブックマーク / realsound.jp (5)

  • 宮台真司の『FAKE』評:「社会も愛もそもそも不可能であること」に照準する映画が目立つ

    可能性の説話論/不可能性の説話論 この1年ほど、映画批評の連載でテーマにしてきたことがあります。岩井俊二監督最新作『リップヴァンウィンクルの花嫁』(3月公開)のパンフレットにも詳述しましたが、近年の映画において、「社会はクソである」というモチーフが前面に出てきています。 「政治が悪いからクソだ」とか「社会的に恵まれない人がこんなにいるからクソだ」ということではなく、「そもそも社会はすべてクソなのだ」と。国籍も年代も問わず、映画監督がそのモチーフをどう表現するのか、ということがポイントになっています。 別の言い方をしましょう。映画小説などの表現には二つの対照的なフレームがあります。第一は、来は社会も愛も完全であり得るのに、何かが邪魔をしているので不完全になっているとするフレーム。不全をもたらす障害や悪の除去が説話論的な焦点になります。 第二は、来は社会も愛も不可能なのに、何かが働いて、

    宮台真司の『FAKE』評:「社会も愛もそもそも不可能であること」に照準する映画が目立つ
    santo
    santo 2020/02/29
    “<世界>はそもそもデタラメで、<社会>の秩序は一瞬の夢の如き奇蹟なのだ、という感覚を忘れないこと。” そもそも「世界は残酷だ」という認識の人の方が、善をなすのは自己の意思しかないと覚悟している。
  • 『ジョーカー』旋風で吹き飛んだ『ジョン・ウィック』 敗因はパキスタンよりも遅い日本公開?

    先週金曜日に世界同時公開された『ジョーカー』が、日でも映画界の話題を独占している。初日からの3日間で動員49万8071人、興収7億5567万円を記録。土日2日間の初動成績を過去のDC作品と比較すると、『ダークナイト』(2008年)の251%、『ダークナイト ライジング』(2012年)の147%、『マン・オブ・スティール』(2013年)の204%、『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』(2016年)の109%、『スーサイド・スクワッド』(2016)の140%、『ワンダーウーマン』(2017年)の203%、『ジャスティス・リーグ』(2017)の267%、『アクアマン』(2019年)の174%、『シャザム!』(2019年)の334%という数字。スーパーヒーロー映画の多くは初動に偏る傾向があるが、『ジョーカー』の勢いはウィークデイに入ってからも止まらず、2位以下の作品を大きく引き

    『ジョーカー』旋風で吹き飛んだ『ジョン・ウィック』 敗因はパキスタンよりも遅い日本公開?
    santo
    santo 2019/10/11
    『邦画メジャーと洋画メジャーの自社作品に劇場が押さえられていて、作品の規模にふさわしいスクリーン数を確保しようとすると、公開日が先送りになってしまうことが多々あるのだ。』そういう話なんだ
  • 宮台真司の『万引き家族』評:「法の奴隷」「言葉の自動機械」となった人間達が社会を滅ぼすことへの激しい怒り

    布団が艶めかしかった昭和と共に失われたもの 布団の話から始めます。昭和には和風ラブホテル──「旅荘」──がありました。門をくぐると仲居(従業員)の女性が出迎えて、部屋へと案内してくれます。部屋番号ならぬ「楓」「椿」などと部屋名が付された扉が開けられると、卓袱台と畳だけが見えます。しばらくお待ち下さい、と中居が一旦引き下がります。 茶と茶菓子を盆に載せた再び中居がやって来ると、「ごゆっくり」と一言残して立ち去ります。何かを仄めかしているように感じてゾクっとした二人は、対面しつつ茶菓子を口に運んでしばし雑談します。それでもお互いにこれから起こる事が分かっているから、どこかしらじらしくてギコチないのでした。 そして、会話がふと途切れた時が「その時」です。相手の手に触れて見つめ合い、手を取り合って立ち上がります。襖(ふすま)を開けると、そこはいきなり非日常の時空。艶めかしい色の行灯に照らされて大き

    宮台真司の『万引き家族』評:「法の奴隷」「言葉の自動機械」となった人間達が社会を滅ぼすことへの激しい怒り
    santo
    santo 2018/07/16
    《本作に正確に即するなら、パヨクとウヨブタが「法の奴隷」「言葉の自動機械」として等価に批判されています。私の言い方では「左か右かじゃなく、マトモ(本物)かクズか」》
  • 永野芽郁と佐藤健が見た夢の顛末 『半分、青い。』が描く、残酷な“時間”の生々しさ

    『半分、青い。』(NHK総合)ほど、色彩と台詞、懐かしのフレーズ、シーナ&ザ・ロケッツの「ユー・メイ・ドリーム」など珠玉の名曲で美しく愛おしい夢を彩る一方で、鈴愛(永野芽郁)と視聴者にジリジリとシビアな現実を突きつけ、時に突き放してくるドラマは朝ドラ史上ないだろう。 「お気楽な時間は終わり」というバブルが弾けた後の平成を生きる鈴愛の人生は、漫画家デビューを果たした夢いっぱいの20歳(第67話)から、“運命”のはずだった幼なじみ・律(佐藤健)のすれ違いによる唐突な結婚、なんとも残酷な挫折、そして100円均一ショップの店員として働く28歳(第82話)まで怒涛の展開だった。18歳とはとても思えない凄みのある演技を見せた永野芽郁の底知れなさ含め、このひとっ飛びに通り過ぎつつある20代は、特筆すべきものがある。 特に第78話ほど残酷なものはなかった。糖分を過剰摂取しないと頭が働かない鈴愛と、鈴愛のネ

    永野芽郁と佐藤健が見た夢の顛末 『半分、青い。』が描く、残酷な“時間”の生々しさ
    santo
    santo 2018/07/11
  • クリストファー・ノーランの到達点『ダンケルク』を観る前に復習しておきたい、00年代以降の「スペクタクル大作」10選

    クリストファー・ノーランの到達点『ダンケルク』を観る前に復習しておきたい、00年代以降の「スペクタクル大作」10選 クリストファー・ノーラン監督の最新作、『ダンケルク』の公開が近づいてきた。第二次世界大戦におけるダンケルクでの攻防と撤退を描いた作は、海外ではノーラン・ファンが過去最高レベルの大賛辞を送っているだけでなく、これまでノーラン作品に対して、主に好き嫌いを理由に煮え切らない評価を下してきた一部の批評家たちをも問答無用にノックアウトした。 出世作『メメント』(2000年)以降、ノーラン作品で最もコンパクトな106分という上映時間で展開される、史実に沿ったエモーショナルなストーリー。銃声や爆撃機のこれまで他の映画で聞いたことがないリアルな音響&音圧。盟友ハンス・ジマーの手がけたネクスト・レベルと言うべき荘厳な劇伴。フィオン・ホワイトヘッド、ワン・ダイレクションのハリー・スタイルズとい

    クリストファー・ノーランの到達点『ダンケルク』を観る前に復習しておきたい、00年代以降の「スペクタクル大作」10選
    santo
    santo 2017/09/03
    フイルムこだわりかあ。しかし違いを知るためにはimax映画館ハシゴしなきゃいかんかもなあ。
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