宮台真司の『FAKE』評：「社会も愛もそもそも不可能であること」に照準する映画が目立つ

可能性の説話論／不可能性の説話論 この1年ほど、映画批評の連載でテーマにしてきたことがあります。岩井俊二監督最新作『リップヴァンウィンクルの花嫁』（3月公開）のパンフレットにも詳述しましたが、近年の映画において、「社会はクソである」というモチーフが前面に出てきています。 「政治が悪いからクソだ」とか「社会的に恵まれない人がこんなにいるからクソだ」ということではなく、「そもそも社会はすべてクソなのだ」と。国籍も年代も問わず、映画監督がそのモチーフをどう表現するのか、ということがポイントになっています。 別の言い方をしましょう。映画や小説などの表現には二つの対照的なフレームがあります。第一は、本来は社会も愛も完全であり得るのに、何かが邪魔をしているので不完全になっているとするフレーム。不全をもたらす障害や悪の除去が説話論的な焦点になります。 第二は、本来は社会も愛も不可能なのに、何かが働いて、

[santo]

“＜世界＞はそもそもデタラメで、＜社会＞の秩序は一瞬の夢の如き奇蹟なのだ、という感覚を忘れないこと。” そもそも「世界は残酷だ」という認識の人の方が、善をなすのは自己の意思しかないと覚悟している。

[ebmgsd1235]

宮台さんらしく二項対立を鮮やかにパラフレーズしてチャート化していますが彼の主知的な姿勢はヒステリー的主体であることに自覚的（敢て＝主意化）なのでエキサイティングです。「不可能性と＜なりすまし＞の説話」

[aniram-czech]

後編の『カルテル・ランド』編も楽しみ。"社会は本来輝かしいものであり得るのに、悪として名指し得る原因があって、そのせいでクソになっているというのではない。社会は社会であるだけでそもそもクソなのである"

[bronson69]

この記事はしっくりきた。「嘘かどうか」はどちらでもよい、むしろ決定しない方が豊かな空間になると感じた。意味のない（けれどほほえましい）口太鼓や豆乳や猫やケーキ、それと虚実とが等価である豊かな空間。

[yojik]

“「政治が悪いからクソだ」とか「社会的に恵まれない人がこんなにいるからクソだ」ということではなく、「そもそも社会はすべてクソなのだ」と”