不況期にはどうしても財政出動の声が大きくなる一方、経済活性化を目的とした規制改革は「痛み」を伴うとして、声がかき消されてしまう。 だが、小泉規制改革は、不況期に進められた。本稿では、小泉改革の再検証を通じて、不況対策としての規制改革の有効性を検討しよう。 ◆◆◆ 小泉構造改革では不良債権処理、公共投資削減と郵政改革などによる財政再建と並んで、いくつかの規制改革が行われた。都心の容積率緩和やタクシー台数の自由化などがその例である。 実はこれらの規制改革は、不況時の失業拡大を食い止めるのに決定的な役割を果たした。例えば都心の容積率緩和で東京中心部の景観は一変した。また工場等制限法の廃止は、東京の都心に大学を呼び戻し、アジアへの生産基地移転に悩んでいた関西地区の産業空洞化の防止や大阪の工業再生に役立った。これらの改革は明らかに雇用を生んだ。 一方、派遣労働業種の緩和は、非正規雇用を増やし格差を拡