今年四月から中学校の体育で柔道など武道が必修化され、多くの学校で二学期から授業が本格的に始まった。だが、授業は年間でわずかに十数時間。それで武道が身に付くかは、はなはだ疑問で、移行期の昨年には初心者同士が柔道の模擬試合をして、重傷を負った事故もあった。必修化の問題は以前から指摘されていたが、対策は後手に回っている。 (細川暁子) 今年一月、川崎市の中学校で柔道の授業中に重傷事故が起きた。当時、中学一年生の男子生徒が試合形式の「乱取り」で同級生に大外刈りをかけられ、首と後頭部を強打。二人の体重差は二十キロ、身長差は十センチあった。