殺人危機に陥った中南米、犠牲者1日400人 世界人口の8%を占める地域が殺人件数では世界の約3分の1を占める
前回の話の続き。 民主主義においては有権者が意志決定を行うわけだが、その肝心の有権者が有する政治的知識は非常に乏しく、まあそんなことは大昔から皆うすうす気づいていたわけだが、最近の米国ではそれがデータで実証されてしまった、というのが先の話の結論の一つである。また、有権者の知識が乏しいのは必ずしも知的能力が低いからということではなく、合理的と言うか常識的に考えれば、何の得もないのにわざわざ面倒な思いをして政治のことなんか勉強しないよね、というのが「合理的無知」の概念であった。有権者が政治に無知や無関心なのは民主主義のバグではなく仕様、ということだ。 ところで、著者のブレナンが有権者をホビット、フーリガン、バルカンに大別するとき、バルカンは基本的に存在しないものと考えられている。バルカンは想像の産物であって、この世にはホビットとフーリガンしかいない。しかも、政治的に影響力があるのはフーリガンの
私も多くの人と同様に、パリのニュースをひたすら追いかけている。他のことは差し置いて、あの恐怖から目を離さずにいるのだ。それは人間として自然な反応だ。だが、はっきり言っておきたい。テロリストが求めているのは、そうした反応なのだ。そのことを誰もが理解しているわけではない。 たとえば、ジェブ・ブッシュ元フロリダ州知事はこう断言した。「これは西側文明の破壊を狙った組織的な行動だ」。いや、そうではない。そうではなく、「パニックを拡大することを狙った組織的な行動」であり、両者はまったく異なるものだ。そして、ブッシュ元知事のような発言がその違いをあいまいにし、テロリストを実際よりも強力に見せてしまう。こうした発言は、テロリストの大義名分に手を貸すだけだ。 フランスはISに征服などされない 冷静になって、フランスがどんな国であるか考えてみよう。どの国にも問題があるように、フランスにも問題はある。しかし、フ
ラマダン(断食)月が終わった。今日(7月28日)からイード・アル=フィトルというラマダン明けの休日が始まり、イスラーム教徒はお正月のように、口々に「今年もおめでとう」と祝い合う。子どもたちに衣服を新調し、連休を利用して菓子折りもって親戚回りをするのも、お正月みたいだ。 だが、今年ほどお祝いムードどころではない年はない。イスラエルのガザ攻撃によってパレスチナ側の死者はすでに1060人を超え、イラク北部を実効支配したイスラーム国はキリスト教徒住民を追い出し、歴史的遺跡を次々に破壊している。あまり注目されていないが、三年前にNATOが介入してカダフィ政権を倒したリビアでは、本格的に内戦状態と化し、欧米諸国はこぞって自国民の退去を呼びかけるほどに武力衝突が頻発している。 ラマダン月といえばイスラーム暦のなかでも最も神聖な月のひとつなので、ムスリム同士の戦争の場合、ラマダン月だけは休戦にすることが一
フランスの極右政党、国民戦線(Front National)台頭についての分析、日本と重ね合わせて考える。 野洲さんのツイートをまとめました。
移民排斥や反EUを掲げる極右勢力のデモ。 極右政党の支持者が、デモを見ていた人に殴りかかる事件も起きました。 EUの重要政策を決めるヨーロッパ議会の選挙では…。 極右や反EUの政党が大幅に躍進しました。 2度の世界大戦。 その反省から平和と民主主義を理念に掲げ、統合を進めてきたEU。 鈴木 「28の加盟国から成るEU。 今回のヨーロッパ議会選挙で、移民排斥を掲げる極右政党や反EUの政党が躍進しました。 イギリス、フランス、オーストリア、スウェーデンなどで議席を増やしています。」 阿部 「穏健派の会派が、議会の過半数を占める構図は変わらない見通しですが、今後のEUの政策にも影響を及ぼすと見られます。」 鈴木 「そして、極右政党が躍進したフランス国内では、すでに変化が起き始めています。」
社会運動、政党政治、普通選挙――民主主義的な言論や運動が活発に行われた「大正デモクラシー」。しかし、その後日本は戦争の時代へと突入してしまう。なぜ大正デモクラシーは戦争を止められなかったのか。歴史学者の成田龍一氏に話を伺った。電子マガジンα-Synodos vol.142より、一部を転載。(聞き手・構成/山本菜々子) 「大正デモクラシー」とはなにか ―― 今回は、「大正デモクラシーはどうして戦争を止められなかったのか」というテーマでお話を伺えればとおもいます。まずは、「大正デモクラシー」はどのようなものだったのでしょうか。 まず、「大正デモクラシー」という言葉についてですが、これは同時代に使用された言葉でもなければ、歴史用語として定着しているわけではありません。論者によって「大正デモクラシー」といったときの時期や内容や評価が様々です。「大正」という元号と、「デモクラシー」というカタカナとが
(2013年10月21日付 英フィナンシャル・タイムズ紙) 「馬鹿なことをするやつが馬鹿なんだ」というのは、映画「フォレスト・ガンプ/一期一会」によって人々の心に長く刻まれることになった言葉だ。今回の連邦政府の一部閉鎖を受けて、大部分の米国人は何のためらいもなく、このフレーズをティーパーティー運動に使うだろう。 自発的な国債デフォルト(債務不履行)を引き起こしかねない行動を取ること以上に馬鹿げたことなどあり得るだろうか? しかも、彼らが数カ月後に同じ愚を繰り返さないと誰が言い切れるだろうか? 軽んじたくなる衝動には抗いにくいが・・・ しかし、もしティーパーティーを倒すことが目標であれば、彼らを馬鹿だとけなすのは最も賢明なやり方とは言えない。 確かに彼らは、深夜番組に笑いのネタを尽きることなく提供している。だが、彼らを愚弄するのは、首都ワシントンに陣取るティーパーティー系議員たちが同じ手段に
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ユダヤ教ならびにその影響を受けた宗教(キリスト教、イスラム教)を啓典宗教と言います。啓典宗教の特徴は、神が唯一絶対のものであると規定しているところにあります。唯一というのは他には神はいない、ということですから、分かりやすいのですが、絶対である、ということはどういうことなのか、日本人は理解していませんね。絶対と言うのはまず第一に宇宙論的存在証明における価値や原因の起点と言う意味を持ちます。政府に様々な命令権限があるのは、国民の支持があるからですね。現代では国民に価値の起点があるわけです。これが例えば徳川幕府では、将軍に権威があるのは天皇によって任命されているからであり、天皇に権威があるのは神によって国主たることを命じられているから、という理屈になります。つまりある権力組織や権力者は、自分自身では自分の権威を正当化できないのです。権威を正当化できる権威者は必ず外部にいます。そしてその外部の権威
昭和32年にアメリカ軍基地を巡って起きたいわゆる「砂川事件」の裁判で、「アメリカ軍の駐留は憲法違反」と判断した1審の判決のあとに当時の最高裁判所の長官がアメリカ側に1審の取り消しを示唆したとする新たな文書が見つかりました。 研究者は、司法権の独立を揺るがす動きがあったことを示す資料として注目しています。 「砂川事件」は、昭和32年7月、東京のアメリカ軍・旧立川基地の拡張計画に反対したデモ隊が基地に立ち入り、学生ら7人が起訴されたもので、1審の東京地方裁判所は、「アメリカ軍の駐留は戦力の保持を禁じた憲法9条に違反する」として7人全員に無罪を言い渡しました。 1審の9か月後、最高裁判所大法廷は、「日米安全保障条約はわが国の存立に関わる高度の政治性を有し、司法審査の対象外だ」として15人の裁判官の全員一致で1審判決を取り消しました。 今回見つかった文書は、最高裁判決の4か月前の昭和34年8月、ア
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アメリカのトヨタ叩きについての「もやもや」が晴れた。これは、アメリカンリスクの教科書として読まれるべきスゴ本。 そのジャイアニズムやダブスタにはちゃんと(構造的な)理由があることが分かる。なぜヒステリックな反応をしたのか、原因判明にもかかわらず、どうしてケジメをつけられないか理解できる。同時に、トヨタの大人の対応と、是々非々バランス感覚の絶妙さに唸らされる。さらに、アウディ、トヨタの次がどこであれ、どんな対応を取ればよいか教訓が得られる。 2009~2010年の「トヨタ急加速疑惑」によるトヨタバッシングは異様だった。メディアの扇情報道がオレモオレモ苦情のループを呼んでヒートアップする一方、トヨタを蹴落とす陰謀論がまことしやかに語られていた。どこまでが「事実」で、どこからが「意見」なのか日本のメディアを探しても、「グローバル経営感覚の欠如」や「トヨタの油断や驕り」など、自虐的な報道ばかり。後
建国の精神 アメリカ独立宣言に従えば、オバマ政権にもはや正統性はない Jim Young-Reuters バラク・オバマ大統領が勝利した米大統領選。この選挙結果と今後のアメリカの行く末に不満を抱く大勢のアメリカ人が、ホワイトハウスにある要求を突き付け始めた――わが州をアメリカから独立させよ、と。 ホワイトハウスのホームページに設置されているオンライン請願システム「We the People」には、大統領選以降で10万人以上の署名が集まっていると、BBCは報じている。 連邦政府からの離脱を求める請願は20州から起こっており、そのほとんどがミット・ロムニーに投票した有権者が多数を占める南部を中心とした共和党支持者優勢の州。だが民主党優勢の北東部の州もいくつか含まれている。 ワシントン・ポスト紙によれば、請願を提出しているのはアラバマ、アーカンソー、コロラド、フロリダ、ジョージア、インディアナ、
インドの歴史家Ramchandra GuhaがThe New Republicの書評記事で自国のことをそう評している(Mostly Economics経由の Chris Blattman経由)。 THE REPUBLIC OF INDIA is the most reckless political experiment in human history. Never before was a single nation constructed out of so many diverse and disparate parts. Partitioned at birth on the basis of religion, India now has almost as many Muslims as the Muslim homeland of Pakistan. It has more
日本では増税法案、台風被害がトップニュースだが、この数日間CNN、BBCのトップはエジプト関連ニュース速報ばかり。欧米の関心は予想以上に高いのだ。 この彼我の差はいったいなぜなのだろう。やはり日本人には中東に対する感受性が不足しているのか。 今さらこんなことを言っても仕方がない。今回は現時点で得られている諸情報に基づき、大統領選後のエジプト内政を占ってみたい。(文中敬称略) まずは事実関係を正確に理解しよう。以下は先週以来エジプト軍最高評議会(SCAF、Supreme Council of the Armed Forces)が決定・実施した一連の措置に関する報道を取りまとめたものだ。いずれもムスリム同胞団をはじめとする国内反政府勢力は猛烈に反発している。 6月13日 法務大臣が戒厳令を再発令、これにより警察・公安部門ではなく、軍部が再び法執行と秩序維持につき直接責任を負うことになった。 6
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