ブックマーク / huyukiitoichi.hatenadiary.jp (11)

  • 「そもそも食べすぎず、食欲を抑える」ためにはどうしたらいいのか?──『肥満の科学: ヒトはなぜ太るのか』 - 基本読書

    肥満の科学 ヒトはなぜ太るのか 作者:リチャード・J・ジョンソンNHK出版Amazonとにかく現代は太りやすい時代である。べ物は安くてカロリーの高いものがいくらでもあり、そのうえおいしいので、ブレーキがないといくらでもべてしまう。ラーメン、焼き肉、生クリームがたっぷり乗ったアイス。シーズンごとにスタバの新作も出て──と、気を抜くと現代の人間はぶくぶくと太ってしまう。 現在アメリカでは人口の30〜40%が肥満(BMI30以上)で、10〜12%が糖尿病だという。日ではBMI30以上の肥満者は4.5%だが基準を少し下げてBMI25以上でみると、20歳以上で男性33.0%、女性22.3%(厚生労働省「国民健康・栄養調査報告」による)である。そのため多くの人がダイエットに励み、糖質制限から16時間断まで数々のダイエット法が出てくるわけだが、そうそう簡単にうまくいくものでもない。 で、書『肥

    「そもそも食べすぎず、食欲を抑える」ためにはどうしたらいいのか?──『肥満の科学: ヒトはなぜ太るのか』 - 基本読書
    satooosy
    satooosy 2024/09/03
  • プラットフォームが巨大な力を持って人間を支配するとき、どう対抗すべきなのか──『デジタルの皇帝たち――プラットフォームが国家を超えるとき』 - 基本読書

    デジタルの皇帝たち――プラットフォームが国家を超えるとき みすず書房Amazonプラットフォームが大きな力をふるう時代である。アマゾンで日々の必需品を買い、ウーバーで事を配達してもらう。海外では配車アプリの方で生計をたてている人も多い。Appleのアプリストアでは何十万ものアプリが公開され、その売上がメインの企業も多い。アマゾンのサービスのひとつ「メカニカル・ターク」は、希望者にタスクを分配する仕様で、世界中のリモートワーカーの資金源になっている。 こうしたプラットフォームが存在することは、利点ではある。メカニカル・タークのような巨大なオンライン労働市場はそれだけ仕事を振る人も多く、人のいないサービスと比べれば容易に仕事にありつける。特にオークションや取引プラットフォームなどでは顕著だが、取引が成立したにもかかわらず品物を送らない悪質な取引事業者や個人が現れたときも、プラットフォーマーは

    プラットフォームが巨大な力を持って人間を支配するとき、どう対抗すべきなのか──『デジタルの皇帝たち――プラットフォームが国家を超えるとき』 - 基本読書
    satooosy
    satooosy 2024/08/20
  • 哺乳類の歴史をたどることで、われわれ(人間)の本質へと迫る傑作ノンフィクション──『哺乳類の興隆史──恐竜の陰を出て、新たな覇者になるまで』 - 基本読書

    哺乳類の興隆史――恐竜の陰を出て、新たな覇者になるまで みすず書房Amazonこの『哺乳類の興隆史』は、その名の通り哺乳類の歴史を追った一冊である。今地球上では、クジラや犬ややカンガルーや人間など、数多くの哺乳類が地上で、海で、繁栄している。その数なんと6000種類以上だ。昆虫などと比べれば少ないが、それでもけっこうな数とはいえる。しかし、歴史を振り返ればより多様な──現代の地球環境からすれば想像もつかないような──哺乳類たちが存在していた。 毛むくじゃらの巨大なゾウもいたし、バカでかい枝角を持ったシカも、車ほどの大きさのアルマジロもいた。短い後肢と長い前肢でウマとゴリラをかけ合わせたような体だったカリコテリウム類もいたし、大型化する前のミニチュアプードルほどの大きさのゾウがいた時代もあった。哺乳類は現代のものよりも小型だった時代も大型だった時代もある。それは、周辺の環境や競合の存在によ

    哺乳類の歴史をたどることで、われわれ(人間)の本質へと迫る傑作ノンフィクション──『哺乳類の興隆史──恐竜の陰を出て、新たな覇者になるまで』 - 基本読書
    satooosy
    satooosy 2024/08/04
  • 戦場で両脚を失った作家がハイブリッドの世界を語る、現時点の今年ベストノンフィクション──『ハイブリッド・ヒューマンたち──人と機械の接合の前線から』 - 基本読書

    ハイブリッド・ヒューマンたち――人と機械の接合の前線から みすず書房Amazonこの『ハイブリッド・ヒューマンたち』は、英国軍としてアフガニスタン紛争地に従軍し、即席爆発装置を踏んで両脚を失った元兵士の著者が、義足や義手といったテクノロジーと融合し使いこなす人々について語るエッセイ・ノンフィクションだ。 著者自身も義足ユーザーであり、書では事故後最初に義足をつけはじめた時の体験や感情の動き。また、義足に適応していく過程がじっくりと丁寧に語られていく。それでいてノンフィクション的な部分(義足や義手の最新事情)の筆致も職のノンフィクション作家に劣らない。障害を乗り越え、義足や義手、白杖と共に生きるようになった人々の語りも随所に挿入されており、激しく感情が揺さぶられる部分もあった。エモーショナルでためになる、現時点で今年ベストのノンフィクションだ。 ここに続くのは、人間ー機械の前線における物

    戦場で両脚を失った作家がハイブリッドの世界を語る、現時点の今年ベストノンフィクション──『ハイブリッド・ヒューマンたち──人と機械の接合の前線から』 - 基本読書
    satooosy
    satooosy 2024/07/21
  • AIは国家間のパワーバランスや軍事をどう変えるのか──『AI覇権 4つの戦場』 - 基本読書

    AI覇権 4つの戦場 作者:ポール シャーレ早川書房Amazonこの『AI覇権 4つの戦場』は、無人兵器についてのノンフィクションで邦でも高く評価された『無人の兵団』著者の最新作で、タイトルの通りAIをめぐる国家間の争い、その行方について主に4つの視点から考察していく一冊になる。 AIの時代にどの国が軍事、経済、政治力で強みを握るかをもっと理解するには、データ、計算、人材、機構という四つの重要な領域をさらに深く掘り下げる必要がある。 著者はもともと米海軍のレインジャー部隊員としてイラクとアフガニスタンに出征。狙撃兵などとして活躍した後、2008〜13年まで米国防総省(ペンタゴン)で自律型兵器に関する法的・倫理的課題と政策を研究していた人物だ。ようは軍事と国防関連の知識が豊富な軍事アナリストで、書にはその知識や経験が存分に活かされている。 近年生成系AIは飛躍的な進歩を遂げ、GPT-4だ

    AIは国家間のパワーバランスや軍事をどう変えるのか──『AI覇権 4つの戦場』 - 基本読書
    satooosy
    satooosy 2024/06/01
  • 技術革新を不平等に向かわせないためには、何が必要なのか──『技術革新と不平等の1000年史』 - 基本読書

    技術革新と不平等の1000年史 上 作者:ダロン アセモグル,サイモン ジョンソン早川書房Amazonこの『技術革新と不平等の1000年史』は、技術革新の歴史を概観しながら、それが経済成長や不平等とどのように関連したのかを解き明かしていく一冊である。 技術革新が起これば生産性が上がり、経済は成長し、新たな雇用が生まれ、回り回って市民の賃金も生活も向上する──一般的にはそう言われてきたが、実際にはそうとは限らない。たとえば近年ChatGPTをはじめとした数々の進歩が起こって生産性も向上したはずだが、生活がよくなっている実感はないだろう。先日厚生労働省が発表した日の毎月勤労統計によると2023年11月の一人あたりの実質賃金は前年同月比3.0%減り、マイナスは20ヶ月連続で、物価上昇に賃金が追いついていない。*1 実は、一〇〇〇年にわたる歴史と現代における証拠から、一つの事実がきわめて明白にな

    技術革新を不平等に向かわせないためには、何が必要なのか──『技術革新と不平等の1000年史』 - 基本読書
    satooosy
    satooosy 2024/01/18
  • 地球がどれほど劇的な変化に見舞われてきたか、広範な科学の知見を動員し描写する地球史ノンフィクション――『素晴らしき別世界 地球と生命の5億年』 - 基本読書

    素晴らしき別世界 地球と生命の5億年 作者:トーマス・ハリデイ山と渓谷社Amazon※山と渓谷社からの依頼で山と渓谷社のnote用に書いた書評ですが大変おもしろいだったので自分のブログ用にちょこちょこと書き換え、許可を得て転載しています われわれは自分の周りの環境を「当たり前のもの」として受け止めがちだ。 何しろ先祖の時代から日列島は日列島だし、一日は24時間だし、気候変動や災害による水位の上昇、地形の変動こそあれど、世界の構成──大気中の酸素・二酸化炭素濃度、大陸数、生物の数──に大きな変化はない。しかし、5億年の物差しでみると、過去と現在の地球には、「別世界」と表現しても過言ではないほどの変化が起こってきた。今の六大陸もかつては繋がっていて、陸伝いに移動できたし、そうした世界では、当然植物や生物はわれわれの想像を遥かに超えた形態をみせる。 というわけで、書『素晴らしき別世界』は

    地球がどれほど劇的な変化に見舞われてきたか、広範な科学の知見を動員し描写する地球史ノンフィクション――『素晴らしき別世界 地球と生命の5億年』 - 基本読書
    satooosy
    satooosy 2023/12/01
  • オールドスタイルなスペースオペラの土台に宇宙のすべてが乗っかった、圧巻のオープンワールドRPG──『Starfield』 - 基本読書

    store.steampowered.com ベセスダの新作ゲーム『Starfield』、XboxGamePassに加入してプレミアム・エディションを追加購入した人は9月1日からプレイできた。現時点で35時間ほどプレイし、各勢力のミッションもいくつかたしなみながらメインミッションも一応クリアしたので、いったんファーストインプレッションとして感想を残しておきたい。 最初にざっとした総評 結論からいうと間違いなくベセスダのオープンワールドRPGであり、他スタジオが作ったオープンワールドRPGからは摂取できない栄養がここにはある。『Skyrim』と『Fallour4』をあわせたよりも多いセリフ量があり、8年の月日がかけられた。数多くの勢力が入り乱れるさなかに次々と道徳的に曖昧な選択を迫られ、それが世界に不可逆の変化をもたらす──そうしたSkyrimやらFalloutシリーズやらでこれまで散々味わ

    オールドスタイルなスペースオペラの土台に宇宙のすべてが乗っかった、圧巻のオープンワールドRPG──『Starfield』 - 基本読書
    satooosy
    satooosy 2023/10/01
  • 肥満の起源はどこにあるのか──『人はなぜ太りやすいのか――肥満の進化生物学』 - 基本読書

    人はなぜ太りやすいのか――肥満の進化生物学 作者: マイケル・L・パワー,ジェイ・シュルキン,山太郎出版社/メーカー: みすず書房発売日: 2017/07/19メディア: 単行この商品を含むブログを見る現代人はかつてないほど太っている。体長を身長の二乗で割って算出されるボディマス指数での評価では、世界人口の5人に1人が肥満あるいは過剰体重となってしまうほどだ。肥満は糖尿病、高血圧、循環器疾患、骨関節炎といった成人病のリスクになり、体のサイズが大きくなれば施設のサイズも大きくしなければならず、場合によっては適合しないパターンが増え事故に繋がりかねないなど多くの災厄を呼び起こす。 1900年以前には肥満者は存在はしていたものの、その数は多くはなかった。たとえば当時のヨーロッパでは肥満者は珍奇なものであり、見世物にする人もいたという。また、平均体重より重いことは豊かさを意味し、病気の際に予備

    肥満の起源はどこにあるのか──『人はなぜ太りやすいのか――肥満の進化生物学』 - 基本読書
    satooosy
    satooosy 2023/04/23
  • 2022年のおもしろかった本などを振り返る - 基本読書

    ぼんやりしてたら2022年が終わってしまったが、振り返らないよりはマシだと信じて今からおもしろかったなど振り返ろう。今年もアニメ、小説、ノンフィクション、ゲーム……あらゆる媒体でおもしろい作品がいっぱいあった。そのすべてを取り上げることは不可能だけれど、この記事で思うがままに触れていきたい。 小説など(主にSF) プロトコル・オブ・ヒューマニティ 作者:長谷 敏司早川書房Amazon読んだ小説の大半はSFなのでSFの話をするが、最初に触れておきたいのは、最先端テクノロジーとその倫理・社会的課題を描き出してきた長谷敏司が、人工知能✗ダンスをテーマに描き出した長篇『プロトコル・オブ・ヒューマニティ』だ。事故によって右足を切断することになったプロのダンサーが、AI搭載の義足を使い、AIと人間の新しい”共生のかたち”を模索していく。著者自身の介護体験も織り込まれた、最先端の壮絶な物語。今年の小説

    2022年のおもしろかった本などを振り返る - 基本読書
    satooosy
    satooosy 2023/01/01
    “書房”
  • われわれは運動をするために進化してきたわけではない──『運動の神話』 - 基本読書

    運動の神話 上 作者:ダニエル E リーバーマン早川書房Amazonこの『運動の神話』は、『人体600万年史 科学が明かす進化・健康・疾病』などの著作や、身体活動に関する研究で知られる人類学者ダニエル・E・リーバーマンによる、運動についてのノンフィクションである。書名に「運動の神話」とついているのは、書が運動にまつわる神話とその実態を紐解いていくだからだ。 たとえば、運動の神話のひとつに「私たちは運動をしたがって当然だ」というものがある。われわれはもともと狩猟採集民で、日頃ずっと歩いたり走ったりと身体活動が活発な状態にあったわけだから、体を動かすのが当然なのだと。そうやって運動を推奨し、運動は薬だ、老化と死期を遅らせる魔法の薬だ、と吹聴しつづける人たちもいるが、著者はそうした人たちのことを”エクサシスト”(exercist)と呼んでいる。 運動なんてしたくなくて当然だ 実際のわれわれは

    われわれは運動をするために進化してきたわけではない──『運動の神話』 - 基本読書
    satooosy
    satooosy 2022/10/09
  • 1