日本人観光客の行き先 日本人観光客は海外旅行先を選ぶとき、往々にして感傷に走り過ぎる。ビートルズ好きならリヴァプール、ピーターラビット好きなら湖水地方、楽園の島の典型ならハワイ、建築とアートを見たければバルセロナ。そして詩情とファッションと料理ならパリしかない、という具合に。 これでは「パリ症候群」に陥る日本人が出てくるのも無理からぬことだろう。「パリ症候群」とは日本人の精神科医が名付けたもので、心に思い描いていたパリと現実のパリがまるで違うのを目の当たりにして、超現実的な妄想にとらわれる精神状態を指す。この症状にかかるのは、たいてい日本人観光客だ。 パック旅行は今もなお日本人観光客のあいだで盛んだが、それに属さないタイプの旅行者も急増している。彼らは単独あるいは少人数で行動するのを好む。どちらの場合でも、総じて日本人は見苦しくない服装をしており時間に正確、そして礼儀正しい。