岸田文雄前政調会長が自民党総裁に就任し、10月4日召集の臨時国会で新首相に選出される予定だ。新総裁がまず留意すべきは、これまでの政権が四半世紀にも渡り、ほぼ共通した脱デフレと経済成長の目標値を掲げながら、ことごとく的のはるか手前で失速した負の歴史だ。 橋本龍太郎政権による消費税増税と緊縮財政が行われた1997年度以降、日本は物価と実質賃金が長期的に下がり続ける慢性デフレに陥ったまま現在に至る。 最初に「脱デフレ」を掲げたのは、意外や、2009年9月発足の民主党政権である。10年6月18日に打ち出した「新成長戦略」では、早期にデフレを克服し、名目成長率3%超、実質成長率2%超の経済成長(20年度までの平均)を目指すとした。 12年12月発足の第2次安倍晋三政権は日銀の異次元金融緩和、機動的財政出動と成長戦略を3本の柱とするアベノミクスを打ち出し、今後10年間の平均で名目成長率3%程度、実質成