呉市は保険者としての意識が極めて高いことで有名だ。診療報酬明細書であるレセプトデータを基に、膨張する医療費を抑える施策に取り組んできたフロントランナーである。 呉市がまず力を入れたのが、ジェネリック医薬品の積極的な普及だ。がんや精神疾患など重篤な疾患以外について、ジェネリック薬に変えたら本人が支払う金額が200円以上少なくなる場合に、差額を通知するようにした。今でこそ、薬局などでこうした差額を教えてくれるのは珍しくなくなっているが、呉市では2008年度から始めていた。これまでに85%以上の患者が差額通知後にジェネリック薬を使うようになり、10億5000万円以上の削減効果が出ているという。 次に、冒頭で紹介したように、同じ薬を同じ月内に複数の医療機関で処方してもらっているケースや同じ医療機関に月15回以上通っているケース、同じ病気で3つ以上の医療機関にかかっているケースもリストアップした。患
高齢化は過疎地から都市部の問題になる これから日本は世界でも前例のないスピードで高齢化が進む。そのとき大きな課題となるのが「医療」と「介護」である。これにどう備えるか。その有力な選択肢の1つが、老後移住である。 2014年7月、安倍晋三首相は、「まち・ひと・しごと創生本部」に関する記者会見で「大都市圏から地方への移住の必要性」を繰り返し強調した。それだけ状況が逼迫していることの証左だ。 なぜ高齢化の進んでいる地方に移住するのか。その点を理解するには、今後わが国で進展する急速な人口構造の変化を理解する必要がある。 日本では高齢化が進む。国の推計によれば、2010年からの30年間で、0~64歳は約3000万人減少する一方で、75歳以上の後期高齢者は約800万人も増える。「団塊の世代」が75歳前後となる2020年から2025年が後期高齢者増加のピークで、その後期高齢者も、2030年を過ぎるとゆっ
「難病・慢性疾患全国フォーラム2015」が2015年11月7日、東京で開かれた。 2010年から始まり、6回目のフォーラムには、全国から95の難病・患者団体など156団体の代表ら400人が集まった。 ハンディのある患者が共に生きる生活支援策も必要 患者団体が熱望していた新法の難病法と児童福祉法改正法が14年の国会で可決成立し、15年1月から施行された。それに伴い56病だった医療費助成の対象難病は15年1月から 110病、7月からは306病に、514病だった小児慢性特定疾病も1月から704病に増えた。 「一応の目的を達成したので、以後は新しい形を考えたい」(実行委員長の伊藤たてお・日本難病疾病団体協議会代表理事)と、今回は最後のフォーラムになった。 「共生社会の実現を目指して」と題したフォーラムでは、テーマ別で意見発表が行われた。新しく助成対象になった遺伝性の早老症・コケイン症候群など 4つ
厚生労働省は3日、平成25年度の1人当たり医療費について都道府県別に比較した地域差を公表した。医療費が高い地域は西日本に集中する「西高東低」の傾向が続いており、最も高い高知(64万2千円)と最も低い千葉(41万5千円)との格差は約1・5倍だった。医療費がかさむ入院費が地域差につながる要因となっている。全国平均は50万1千円で前年度に比べ1万4千円増えた。 1人当たり医療費は国民健康保険と後期高齢者医療のデータから算出。健康保険組合などの分は含まれていない。高知に次いで高いのは山口、大分、鹿児島、佐賀の順。西日本の各県が並び、10道県が60万円台だった。一方、低いのは千葉に次いで埼玉、茨城、沖縄、栃木の順で19都県が40万円台だった。
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