来年10月に実施予定の幼児教育・保育の無償化を巡り、予定される財源のうち、新たな保護者の負担解消に相当する分は約6割にとどまることが7日、厚生労働省の調査で判明した。残る4割で、地方自治体が独自の支出で保育料を減免している分を、国が肩代わりする。政府は、肩代わり分については別の子育て支援策に充てるよう促す方針だが、自治体が応じるかどうかは見通せていない。 政府は昨年末時点で、幼稚園なども含めた無償化の費用を約8000億円と試算した。しかし、地方自治体は独自の負担で、保育料を国の基準より減免して保護者の負担を軽減している。厚労省の調査では減免割合が全国平均で約4割に上る。地域別でみると、一番高いのは四国で47.5%、首都圏だと42.6%、近畿で40.1%。一番低い北陸でも37.0%に上った。
いじめが「自死への衝動に影響、可能性は否定できない」とも 東京都葛飾区立新宿(にいじゅく)中3年の男子生徒(当時)が2014年4月に自殺した問題で、青木克徳区長は7日、区の見解を公表し、ジャージーを下ろそうとされたなどの行為は、いじめ防止対策推進法に定義されたいじめに該当すると結論づけた。「いじめと認められない」とした第三者委員会の報告書を覆した形だ。青木区長はさらに、いじめが「自死への衝動に影響を与えた可能性は否定できない」とも踏み込んだ。【川村咲平、福沢光一】 いじめの定義について、いじめ防止対策推進法は「心理的、物理的な影響を与える行為で、対象となった児童らが心身の苦痛を感じているもの」と定義する。しかし第三者委は、法律ではなく「社会通念上、いじめと評価できる行為」を基に判断。他の生徒が男子生徒に霧吹きで水をかけたり、ジャージーを下ろそうとしたりした行為は「いじめと認められない」と答
パソコンやスマートフォンの普及で、子どもたちがふとした拍子に過激な性的表現に触れてしまうことがある。一方で、学校での性教育には「寝た子を起こすな」という考えも根強い。保護者や身近な大人が、子どもに正しく性の知識を伝えるにはどうしたらいいのか。 「どうしたら妊娠するか、学校では教えてくれない。親たちが逃げずに伝えて」。神奈川県相模原市の助産師、在川(ざいかわ)有美子さん(39)は5月半ば、親向けの性教育講座で約15人の参加者に、こう呼びかけた。10代で出産するリスクなどを解説し、「妊娠を『だめ』と言うのではなく、何でだめなのか一緒に考えてあげてほしい」と話した。 在川さんは約3年前から、市内の小中高校で命や性に関する授業をしている。だが、学校側から「性交渉」「コンドーム」などの言葉を使わないよう求められることがあり、性のことを理解してもらうには、幼いころから「土台」をつくっておくことが必要だ
愛知県立刈谷工業高校2年の山田恭平さん(当時16)が2011年に自殺した問題で、愛知県弁護士会が、山田さんが所属していた野球部の副部長だった教諭に対し、「人権侵害にあたる」として、警告書を出していたことがわかった。警告書は5月23日付。遺族が県弁護士会に、人権救済を申し立てていた。 警告書では、副部長が、11年の試験期間中、禁止されたトランプで遊んでいた複数の部員を平手打ちしたり、足を蹴ったりしたのは体罰で、暴行罪に該当する犯罪行為、人権侵害だとした。また、山田さんら体罰を見せられた部員に対しても、体罰を受けた部員と同様、心身に深刻な影響を与えるため、人権侵害と認定。「二度とこのような人権侵害行為を行わないよう」にと警告した。 さらに、同日付で刈谷工高に要望書も出した。「不適切な指導を未然に防ぐ」「自殺行為が発生した場合は原因を迅速に調査し、結果を親、教員、教育委員会などと共有する」ことな
中3自殺、メモ隠蔽を指示=「事務処理煩雑」と神戸市教委担当者 2016年に神戸市垂水区の市立中学3年の女子生徒=当時(14)=が自殺した問題で、他の生徒から聞き取ったメモがあったのに、市教育委員会の担当者が当時の校長にメモの隠蔽(いんぺい)を指示していたことが弁護士の調査で分かった。市教委が3日、記者会見して公表した。 メモ隠蔽指示で経緯聞き取り=神戸市教委を指導-文科省 調査報告書によると、教員らは女子生徒が自殺した5日後、他の生徒6人と面談。具体的ないじめ行為などを記したメモを作り、校内で保管していた。 しかし、当時の校長は17年3月、市教委の首席指導主事の指示に従い、情報開示を求めた遺族に「メモは存在しない」と回答。遺族が神戸地裁に申し立てた証拠保全の手続きでも、メモを提出しないよう指示した。 報告書は、首席指導主事が「メモが明らかになれば、再度の情報開示請求で事務処理が煩雑になる」
自殺願望を抱く若者らに対し、SNSによる相談対応を今年度以降に実施する自治体が、全国の都道府県・政令市・県庁所在市のうち3割に上ることが、読売新聞の調査でわかった。 神奈川県座間市の9人殺害事件を受け、若者に身近なSNSの活用が急速に拡大しつつある一方、多くの自治体がノウハウや人手の不足を課題に挙げている。 調査は今年4月、都道府県、政令市、県庁所在市の計98自治体に、教育委員会をあわせた実情を聞き、全自治体が回答した。 SNS相談には無料通信アプリ「LINE(ライン)」やツイッター、フェイスブックなどで対応する方式や、相談・通報を受けられるアプリを利用する形がある。 回答によると、「実施する予定」としたのは22都道府県と9市の計31自治体。うち少なくとも22自治体は、児童生徒の自殺が多いとされる夏休み明けの今年8、9月を含む時期に行うことをすでに決めている。自殺といじめの相談対応を兼ねる
聴覚障害のある子どもたちが手話で授業を受けられるように、群馬大教育学部は2017年度から、手話通訳の資格を持つ教員の養成に取り組んでいる。群馬大によると、福祉系の大学以外で手話通訳者を養成するのは全国的にも珍しいという。 国内で難聴も含めた聴覚障害がある児童・生徒は1万2182人で、そのうち県内は256人(文部科学省の2017年度調査)。重度聴覚障害者の多くが通う県立ろう学校では、研修などで手話を学んだ教員らが授業をしたり、視覚情報で補ったりしている。 補聴器や人工内耳の技術が向上し、残っている聴力を最大限に活用する方法も進んでいるが、近年は手話による授業を重視する流れがある。15年施行の県手話言語条例の実施計画には「ろう学校で手話などを使った各教科指導」が盛り込まれ、前橋市が16年に制定した手話言語条例の推進方針は「学校で手話が必要な児童、生徒らへの支援に努める」と明記した。
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