欧米各国の社会的養護の柱の一つに、生みの親と暮らせない子供たちを引き取り、法的に実の子として育てる特別養子縁組がある。対するわが国は、社会的養護を必要とする子供約4万6千人(2014年)のうち約84%が乳児院や児童養護施設で、約16%が里親家庭やファミリーホームで暮らし、特別養子縁組はわずかに500件前後にとどまる。 ≪まずは施設から里親委託へ≫ 日本も採択する国連の「児童の代替的養護に関する指針」を見るまでもなく、子供は家庭的な環境で育つのが望ましく、特別養子縁組こそ最善の福祉と言っていい。その普及に向け、わが国も社会的養護の在り方を抜本的に見直していく必要がある。 政府は15年春に閣議決定された少子化社会対策大綱で19年度末の里親委託率を22%に設定するとともに、昨年の児童福祉法改正では養子縁組に対する相談・支援を児童相談所の主要業務に位置付け、議員立法による養子縁組あっせん法の成立で
九州にある82の児童養護施設のうち、看護師を配置しているのは昨年末時点で31カ所(37・8%)を数え、4年間で2・4倍に増えたことが、西日本新聞のまとめで分かった。親元で虐待を受けるなどして医療的ケアが必要な子が多いことから、国が配置を促してきた。ただ、鹿児島県や宮崎県ではほとんど配置されていないなど地域格差が大きく、関係者は「ケアの態勢を早急に整えてほしい」と要望している。 厚生労働省の調査によると、児童養護施設にいる約3万人のうち、6割に虐待を受けた経験があるほか、3割に心身の障害があり、2割は何らかの病気にかかっていた。一方で、専門知識に乏しい職員では健康状態の把握が不十分になりがちなことから、国は2008年に助成制度を創設。12年からは医療的ケアが必要な子が15人以上いる施設に対象を拡大し、看護師を雇用する費用を自治体と半分ずつ支出している。 九州の7県と3政令市によると、国の
虐待を受けるなどして親元で暮らせない子どもについて里親家庭での養育推進などを柱とした児童福祉法などの改正法は27日、参院本会議で全会一致で可決、成立した。児童虐待防止から虐待を受けた子どもの自立支援までの対策を総合的に見直す。一部を除き2017年4月に施行される。 改正法は、親元で生活できない子どもが、家庭と同じような環境で養育されるように国や自治体が対応すると明記した。具体策の一つとして、児童相談所(児相)の業務に、里親の支援や養子縁組の利用促進に向けた相談などを加えた。 虐待の未然防止に向けた早期の対応策として、医療機関や学校などは、出産後の養育に不安のある妊婦や、養育環境に懸念のある子どもの情報を市町村に知らせることが努力義務になる。
国際人権団体「ヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW)」のアジア唯一の事務所を7年前に立ち上げた土井香苗氏。児童養護施設などで暮らす子どもたちの「人権侵害」に対する働きかけを中心に、HRW東京事務所の活動を紹介する。 土井 香苗 DOI Kanae 「ヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW)」日本代表。1975年神奈川県生まれ。東京大学法学部在学中の96年に司法試験に合格。大学4年のとき、NGO「ピースボート」に参加してアフリカ・エリトリアでの法律制定ボランティアに従事する。2000年から2016年3月まで弁護士(日本)として活動、アフガニスタン難民弁護団などで活躍後、05~06年に米ニューヨーク大学法科大学院に留学、国際法修士課程修了、ニューヨーク州の弁護士資格を取得。06~07年にHRWニューヨーク本部のフェローとして活動。09年にHRW東京事務所を開設。アジア地域の人権侵害の調査、政策提
親が育てられない子どもを匿名で受け入れる慈恵病院(熊本市)の「こうのとりのゆりかご」に平成19年5月の運用開始から約7年間に預けられた計101人のうち、約1割の11人が何らかの障害を抱えていることが26日、熊本市の有識者委員会が公表した検証報告書で分かった。 有識者委の山県文治部会長(関西大教授)は、記者団に「障害児の割合は明らかに高い。障害を理由に預けられた可能性があり問題」と指摘。一方、記者会見した慈恵病院の蓮田太二理事長は「社会的支援を受けられずに預けた例もあり、背景分析が必要」と述べた。 検証は3回目で、今回は23年10月から26年3月までの2年半が対象。預け入れられたのは20人で、うち3人に障害があり、運用開始からの合計は11人になった。有識者委は、預け入れ段階で外見などから障害児と判断できたとしたが、詳しくは説明しなかった。
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