障害者が在宅のまま、テレビ電話を通じて、介護・認知症予防のために高齢者をカウンセリングする――。こんな取り組みに、愛知県東海市が今年度から協力する。障害者の就労を促すのが狙いで、市がカウンセラー養成講座の受講料を事実上、全額補助する。障害者が働けるようにと、難病で体をほとんど動かせない市在住の佐藤仙務(ひさむ)さん(27)らが考えたビジネスモデルという。 佐藤さんは脊髄(せきずい)性筋萎縮症で、左手の親指などがわずかに動くだけだ。だが、話すことはでき、指先や視線でパソコンを操作し、電話やメールを駆使する。ホームページや名刺などの制作会社の社長として、障害者を雇用している。 特別支援学校を卒業後、就職できず挫折を繰り返した。傷つく言葉を浴びたこともあったという。それでも「自分で働いて、稼いでみたかった。自分が一歩踏み出せば、ほかの障害者も働けるようになれるのではないか」。19歳で、同じ難病と
障害のある長男(42)を兵庫県三田(さんだ)市の自宅の檻(おり)に閉じ込めたとして、監禁罪に問われた父親の無職山崎喜胤(よしたね)被告(73)の判決が27日、神戸地裁であった。村川主和(きみかず)裁判官は「被害者の尊厳を著しくないがしろにした」として、懲役1年6カ月執行猶予3年(求刑懲役1年6カ月)を言い渡した。 判決によると、山崎被告は妻(病死)と共謀し、2013年4月28日~今年1月21日の約4年9カ月間、重度の知的障害がある長男をおおむね2日に1回、約12時間ずつ母屋で生活させたほかは、隣のプレハブ内に設けた木製の檻(高さ約1メートル、幅約1・8メートル、奥行き約0・9メートル)に入れて南京錠で施錠し、監禁した。 判決は「被害者は長期間立ち上がることもできない狭い檻の中で過ごすことを余儀なくされ、排泄(はいせつ)も檻の中のシートでさせられていた」と指摘。「被告らは施設への入所など、他
高齢者、障害者など難しい住まいの悩みを抱える方々を支援するために─首都圏初のNPO法人による宅地建物取扱業者が神奈川県「住宅確保要配慮者居住支援法人」指定を取得 その他サービス 藤沢市鵠沼海岸のNPO法人シニアライフセラピー研究所(代表:鈴木しげ)の不動産部門「福祉住宅支援センター 亀吉」は、首都圏初・全国でも5番目となるNPO法人による宅地建物取引業者ですが、この度、高齢者・障害者・生活困窮者・母子家庭・外国人など、難しい住まいの悩みを抱える方々の住居探しや日々の暮らしを支援する「住宅確保要配慮者居住支援法人」の指定を神奈川県より受けました。これまで一般の不動産会社では住居を探すことが困難であった方々に対し、住宅に関する相談や入居の支援だけでなく、その後の見守りなど暮らしもサポートします。不動産コンサルタントや士業の団体と、同法人のソーシャルワーカーが連携し、その方の5年後・10年後の暮
各室で調理ができるようキッチンも完備された「ネイバーフッドきたまち」の居室(京都市上京区) 障害のある人の住まいの選択肢を増やそうと、京都市上京区の社会福祉法人「西陣会」が、夜間の見守り付きワンルームマンション「ネイバーフッドきたまち」を区内に開設した。必要な介護サービスを受けながら生活する「サービス付き高齢者住宅」(サ高住)に比較的近い形だが、障害者の住居としては全国的にも珍しいという。 ネイバーフッドきたまちは、キッチンと風呂、トイレを備えた居室6室と、宿直用の管理人控室から成る。主に知的障害のある人が住むといい、居宅介護(ホームヘルプ)などの在宅サービスを利用しながら1人暮らしをする。 西陣会では、2013年にグループホームを開設し、15年には独自にシェアハウスをつくるなど、障害のある人が地域で暮らすための環境を少しずつ整えてきた。 ただ、共同生活になじみにくい一方で家族との同居が困
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独立行政法人国立重度知的障害者総合施設のぞみの園(群馬県高崎市)のあり方をめぐり、厚生労働省の検討会が先月公表した報告書は「国として実施すべき事業に重点を絞って役割を担うべき」だとする一方、民営化も含めた検討も求めました。国立のぞみの園の前理事長で、検討会のオブザーバーを務めた遠藤浩さん(65)に聞きました(取材は理事長退任前の3月5日)。 独立行政法人による運営が適切 ――報告書をどのように受け止めていますか? 「国立施設としての事業の重点化と言いながら、民営化も含めた経営主体もあり得ることが併記され、方向性があいまいになっている印象があります。存続ありきではなく、知的障害のある人たちの生活や人生を支えるために国立施設が必要か、国の障害福祉施策の実施機関として国立施設の運営や調査研究を行う独立行政法人が必要か、議論を深めることが重要です。障害福祉への意欲と力量がある民間施設に任せることで
群馬県高崎市のJR高崎駅から車で約15分。市街地を抜け、緩やかなカーブの坂道を行くと、山林に囲まれた丘陵地が広がる。東京ドーム50個分の約232ヘクタールの敷地に、知的障害のある人が暮らす13棟の生活寮、診療所のほか、運動場やプール、資料センターなどが点在する。半世紀近く前の1971年に開園した、国内唯一の国立知的障害者施設「のぞみの園」だ。 新規の入居受付はせず 入居しているのは、今年1月時点で233人。30年以上暮らしている人が約8割を占める。65歳以上の高齢者は、この10年で2割から6割に増えた。新たな入居者は受け入れておらず、高齢化のスピードは全国の障害者施設に比べて10年ほど早いという。 平日の午前に「なでしこ寮」を訪ねた。平均年齢は77歳で、最も年齢層が高い女性たち18人が暮らす。最高齢の佐古美也子さん(93)たちが、足浴とアロママッサージを楽しんでいた。「気持ちいいですか?」
聴覚に障害があるろうあ者向けの老人ホームが11月、和歌山県和歌山市加納にオープンする。手話でコミュニケーションを図れる環境が整った老人ホームは全国でも約10カ所しかなく、県内では初めて。運営に当たる県聴覚障害者協会の福田美枝子会長は「手話でコミュニケーションを図れる環境を整備することで、高齢のろうあ者が安心して生活できるようになる」と話している。 同協会によると、一般の老人ホームは手話ができる職員が少なく、ろうあ者は「一人でぽつんと過ごし、苦悩を抱えてしまう」ケースが多いという。手話の環境が整ったろうあ者向けの老人ホームは近畿では京都・大阪・兵庫・奈良の4府県にある。 オープンする老人ホームの名称は「きのくにの手」。2階建てで敷地面積は1404平方㍍、定員は26人となる。職員の約半数をろうあ者とする予定で、手話で会話ができるカメラ付き電話、音やアナウンスの代わりに光や振動で連絡を伝える機器
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