あの事件からもう1年になる。 相模原市の障害者入所施設「津久井やまゆり園」で19人の重度障害者が元職員に殺害されたのは昨年7月26日の未明だった。 植松聖被告(27)の初公判はまだ開かれていない。「障害者には生きる価値がない」という理不尽な動機がどのように形成されたのか、事件の核心部分はまだよくわからない。 同園で暮らしていた障害者は現在、横浜市内にある施設などで仮住まいをしている。悲惨な事件の記憶に今も苦しむ人は多いという。 神奈川県は当初、家族会などの要望を受けて施設の全面再建を打ち出した。しかし、山あいの大規模施設で再び障害者を収容することに対して各地の障害者らから批判が高まり、軌道修正をすることになった。 障害者の意思を中心に 現在、県は4年後をめどに相模原市と横浜市に小規模の入所施設を新設する方針を示している。小規模で家庭的なグループホームもつくり、選択肢を広げるという。時間をか
4月23日に投開票された岐阜県各務原市長選の期日前投票で、重度の知的障害がある男性(18)が投票所を訪れた際、職員から口頭で本人確認を求められたが伝えられず、投票を断念していたことが10日、市選挙管理委員会への取材で分かった。市選管は9日、対応が不適切だったと認めて男性側に謝罪した。市選管によると、付き添った母親が、男性は読み書きができず言葉を発することが難しいと伝えていた。だが、受付の職員は
障害者の代筆投票を担う補助者を、選挙管理委員会職員らに限定した公職選挙法の規定は違憲だとして、先天性の脳性まひで両手が不自由な中田泰博さん(44)=大阪府豊中市=が、自ら選んだヘルパーの協力で投票する権利の確認を国に求めた訴訟の第1回口頭弁論が12日、大阪地裁(三輪方大裁判長)であり、国側は請求棄却を求めた。 中田さんは弁論で「投票先を誰に明かすかは、私自身で決めたい。障害を理由に権利を奪わないで」と意見陳述した。 訴状によると、中田さんは昨年7月の参院選の際、ヘルパーによる代筆投票を求めたが、豊中市選管が認めなかったため投票を断念。公選法の現行規定は「投票の秘密」を保障した憲法15条に違反していると主張している。
米ハワイの空港で1月、聴覚障害のある日本人観光客の女性が尋問された際、手話通訳を頼んだのに拒否されたとして、人権団体の全米市民自由連合(ACLU)は11日までに米国土安全保障省に対し、障害者の権利を保障する法律に違反したとして調査などを要求した。 ACLUなどによると、女性は1月31日、ハワイに住むボーイフレンドを訪ねるためハワイの空港に到着したところ、税関・国境警備局から過去の米国留学などについて質問を受けた。女性は受け答えのために手話通訳を要求したが拒否された。(共同)
昨年4月の障害者差別解消法施行から1年たった。その間にも、盲導犬利用者の6割以上が入店拒否や乗車拒否を受けた経験があることが、公益財団法人アイメイト協会(東京都練馬区)の調査でわかった。 盲導犬育成や視覚障害者の歩行を指導するアイメイト協会は今年2~3月、盲導犬、同協会提供=を利用中の248人にアンケートを実施。回答した121人のうち、62%にあたる75人が、法施行後に入店拒否や乗車拒否といった「差別的な扱いに遭ったことがある」と答えた。 多かったのは、レストラン(居酒屋、喫茶店を含む)が76%▽スーパーやコンビニが13・3%▽宿泊施設とタクシーがそれぞれ12%。また「初めて行った場所」が48%と最多だった一方、「自宅の周辺」も34・7%で次に多く、日常生活の中でも無理解を感じていた。周囲に対する要望は「困っている時は助けてほしい」が70・2%▽「盲導犬に触らないでほしい」68・6%▽「盲
誰のため、何のための「改正」? 精神保健福祉法改正の構造的問題 竹端寛 障害者福祉政策 / 福祉社会学 福祉 #精神保健福祉法#社会福祉 本来の趣旨に添うならば 一般的に、法律は現実の後追いである。法律で対応できない・法律が想起していなかった、現に起こっている新しい問題に対応するためには、法律の改正が時として必要になる。ただ、それが「誰のため」「何のため」か、で改正される内容が大きく異なってくる。2017年の通常国会で審議されている「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律」(以下、「精神保健福祉法」という。)の改正も、この根本の部分で構造的な課題を抱えている。 まず、精神保健福祉法とは、何のための法律なのだろうか。法第一条には、次のように書かれている。 「この法律は、精神障害者の医療及び保護を行い、障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律 (平成十七年法律第百二十三号)と相
障害のある人に対する差別の禁止などを盛り込んだ、障害者差別解消法の施行から今月で1年となりますが、NHKが全国の自治体に調査した結果、障害者などから寄せられた相談は1年間で、およそ2800件に上り、自治体が事業者などに指導や助言をしたケースが78件あることがわかりました。 法律の施行から1年になるのに合わせて、NHKは今月、全国の都道府県と県庁所在地など、合わせて121の自治体を対象にアンケート調査を行い、すべての自治体から回答を得ました。 この中で、この1年間に障害者や、その家族などから「差別を受けた」といった相談を受けたことがあるかを聞いたところ、全体の88%に当たる107の自治体が「ある」と答え、相談件数は現時点で少なくとも2834件に上ることがわかりました。 具体的には「飲食店で盲導犬との入店を拒否された」とか、「タクシーを呼んだ際に障害を理由に送迎を拒否された」、また、「宿泊施設
相模原市で起きた障害者殺傷事件を受け、措置入院から退院した患者の支援の強化などを盛り込んだ法律の改正案について、障害者の団体が25日集会を開き、「精神障害が犯罪につながるかのような印象を与え、障害者への偏見を生む」などとして、反対の声を挙げました。 これについて25日、全国14の障害者団体などが東京都内で集会を開き、およそ250人が参加しました。この中で、障害者団体の佐藤聡事務局長が、「精神障害によって事件が引き起こされたことを前提としているかのようで、障害者への偏見を助長する」と指摘しました。 また、大阪の精神障害の女性は、「退院後、どこに住んで何をしているか、自治体に情報が引き継がれていくのは人権無視で監視されているようです」と訴えました。集会では、さまざまな障害者団体が法案に反対を表明し、国会に働きかけていくことを確認しました。 京都から参加した精神障害の男性は、「精神障害者は犯罪を
塩崎厚生労働大臣は、措置入院患者の支援強化などを盛り込んだ精神保健福祉法の改正案をめぐり、厚生労働省が法改正の趣旨を説明する概要資料を修正したことに野党側が反発していることについて、修正の趣旨を丁寧に説明していく考えを示しました。 これを受け、厚生労働省は概要資料から、この文言を削除して修正しましたが、野党側は法案の趣旨説明のやり直しなどを求めています。 塩崎厚生労働大臣は閣議のあとの記者会見で、「国会提出前の事前説明に使っていた概要資料の内容と、委員会で答弁した内容に差があるという指摘や、法案と関係がない文言は削除すべきという指摘があったことを受けたものだ」と述べました。 そのうえで、「法改正の趣旨は、措置入院患者の退院後の医療などの支援の充実を図ることだ。犯罪防止ための法案との誤解を招かないようにすることが大事だという判断から修正した。さらに丁寧な説明を心がけていかなければならない」と
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