シリーズ アナログ印刷(I) 明治期の写真・印刷と出版事情 ―付・コロタイプ印刷の実際― [はじめに] 山口須美男 現在私達の生活の中で目にするあらゆる印刷は、写真術の発明により数種類の版式の違う印刷方式が誕生しました。その印刷方法はそれぞれ異なった印刷性能や特長を持っています。具体的にはコロタイプ印刷・原色版印刷・グラビア印刷・オフセット印刷などがあります。 その中でもっとも写真と密接な関係があって、もっとも早期に写真印刷が確立したコロタイプ印刷につて、 写真技術を追いながら、初期の印刷の成果を振り返って見たいと思います。また、この印刷技術を発展進歩させた美術出版にもふれて見たいとおもいます。 150年前にフランスで生まれたコロタイプ印刷も、現在では衰退し、ローコストの印刷が主流となっています。近代の美術印刷の担い手であり、出版文化に貢献