アイゼンステインの「印刷革命」は、いうまでもなく、重要な著作である。 その中で、著者は、「ルネサンス」と「宗教改革」を中心に、西欧の「近代化」の意味を問い、それに決定的な影響をあたえたのは「印刷」の発明だったことをあかしていく。 まず、ルネサンスに関して、アイゼンステインは、ルネサンスとそれ以前のカロリング・ルネサンスを始めとする文芸復興との違いについて、次のような設問をする。 イタリア・ルネサンスは、新しく重要なできごととして他とは切り離して考えるに値するある独特の特徴を持っていた。しかし同様のことはカロリンガ朝の復興にも十二世紀の復興にも言えるのである。ではなぜ、十五世紀の復興だけに特別な画期的役割があったとするのであろうか。 (「印刷革命」 126p ) アイゼンステインは、テクストの複製・保存の技術、「印刷」が、画期をなしたことを論証する。 印刷術が登場するまでには、当然のことなが
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