名古屋市南部の住宅地の一画に、車両がまったく走っていない鉄道の高架橋が点々と続いています。民間に売却されて住宅、倉庫、ゴルフの打ちっ放しなど様々に活用されている「南方貨物線」。その、運に見放された歴史をたどります。 高架線の上に住宅や倉庫……それは国鉄の未成線 名古屋駅の南方5kmほど、名古屋市南区や熱田区、港区の住宅街には、コンクリートの高架橋が遠くから目を引くほどにそびえ立っているところがあります。この高架、ところどころで途切れているほか、高架上も鉄道車両やクルマが走っている気配がまったくありません。 この高架橋は、旧国鉄の「南方(なんぽう)貨物線」として建設されたものです。大府駅から東海道本線に並行し、笠寺駅で西へ分岐したのち、あおなみ線沿い名古屋貨物ターミナル駅(名古屋市中川区)を目指した路線でした。しかし、完成を目前に控えていたものの、高架上を列車が走ることは一度もないまま、計画