TVで推理ものの番組がよくある。犯人を探すきっかけとなるものは、「その事件によって誰が得をするのか?」というところにあるようだ。(もっとも最近ではこのパターンが飽きられてきていて思いもよらない展開になる場合もあるが)。この得をした人物の特定は もっとも重要なポイントである。これは、TVのサスペンスやドラマだけにあてはまるのでは無い。誰が?という問いを投げかける時、それまで見えなかった事実が浮かび上がることは不思議な現象ではないのだ。 1902年(明治35年)12月、教科書疑獄事件とよばれる事件が発生した。日清戦争も終わり、急速に軍国主義への歩みが感じられる時期である。ロシアの脅威と それに対抗しようとする日本の構図から、いつ戦争がはじまってもおかしくない状態になってきていた。早いか、遅いかの違いだけと言われることも往々にしてあった。こういった時代背景をまずはかんがえておく必要はあろう。