【interview】 「研究不正大国」からの脱却を 黒木 登志夫氏(日本学術振興会学術システム研究センター顧問/世界トップレベル研究拠点プログラム(WPI)プログラム・ディレクター/東京大学名誉教授)に聞く 近年,STAP細胞事件とディオバン事件という二つの研究不正が世間を騒がせたことは記憶に新しい。研究不正はなぜ生じるのか,そして研究不正を減らしていくためにはどのような対策が求められるのだろうか。 本紙では,『研究不正――科学者の捏造,改竄,盗用』1)(中央公論新社)などの著書があり,「日本は研究不正大国になった」と現状に警鐘を鳴らす日本学術振興会学術システム研究センター顧問の黒木氏に,話を聞いた。 ――日本が「研究不正大国」であるというのは本当でしょうか。 黒木 はい。ノーベル賞自然科学3部門における21世紀以降の日本の受賞者数はアメリカに次いで2位であり,世界各国から科学研究の