総務省や携帯電話事業者など,業界全体が販売奨励金を巡ってビジネスモデルの変革に動き始めた。通信料金の値下げが期待できる一方,端末価格の大幅な上昇が起こる可能性もある。企業ユーザーも,携帯電話の導入計画を見直す必要に迫られるかもしれない。
2月15日に開催した第3回「モバイルビジネス研究会」では、前回、キャリアの姿勢に非難が集中したように、国内端末メーカーの姿勢が厳しく問い質された。 「メーカーは世界市場に挑戦する気はあるのか?」「あるに決まっている」――。 携帯電話における国際競争力低下を背景に、販売奨励金制度やSIMロックの是非など業界の根幹を見つめ直す目的の同研究会。今回も激しい議論がやり取りされ、業界の主要プレイヤーの内向き姿勢が鮮明に浮きぼられる結果となった。 言葉を選びつつ妥協点探るKDDI 最初のプレゼンはKDDIの渉外・広報本部長 執行役員の大山俊介氏だ。前回のプレゼンテーションでは、研究会での懸案に対してNTTドコモがことごとく消極的な姿勢を見せたことに批判が集中した。そのためか、KDDIはMVNOや販売奨励金制度の是正については比較的前向きな姿勢を強調。ドコモが非難を浴びた「MNOとMVNOによるWIN-
「携帯はもうかるビジネスだと感じていたが、順調に利益に貢献している」――ソフトバンクの孫正義社長は2月8日に開いた2006年4~12月期の決算説明会をこう切り出した。営業利益は前年同期比約7倍で、半分以上を携帯事業で稼ぎ出した。月額基本使用料980円の「ホワイトプラン」が人気で加入者数も順調に増え、大規模な広告展開や販売戦略で店頭シェアも拡大した。 売上高は前年同期比約2.2倍の1兆8223億円、営業利益は1972億円、経常利益は1116億円(前年同期は22億円の営業損失)、純利益は同23.1%増の219億円。うち携帯事業の売上高は1兆147億円、営業利益は1135億円と、それぞれ全体の半分以上を稼ぎ出した。 契約者の純増数は毎月伸びており、1月には16万4000契約を記録。同月の純増シェアは43%と「ボーダフォン、Jフォン時代を含めても過去最高値」と孫社長は胸を張った。薄型・ワンセグ搭載
端末のSIMロック解除や販売奨励金(インセンティブ)の廃止、MVNOなどのあり方を検討する「モバイルビジネス研究会」の第2回会合が総務省で開催された。 →“SIMロック解除”で安くもならないし便利にもならない──ドコモの中村社長 →インセンティブモデルの是非、理想論だけで考えないでほしい──KDDIの小野寺氏 →割賦販売が100%になったら、SIMロック解除も検討しうるが──ソフトバンク孫社長 →SIMロック解除、市場活性化へ検討 総務省 →「携帯市場活性化」の議論は、バランス感と慎重さが重要 →インセンティブとは モバイルビジネス研究会は、10名の有識者などによって構成される。将来の移動通信市場におけるビジネスモデルを検証し、2007年夏までに報告書をまとめる方針だ。研究会にはオブザーバーとしてキャリアやコンテンツプロバイダー、MVNO事業者なども参加している。 今回はオブザーバを代表し
気になる記事をスクラップできます。保存した記事は、マイページでスマホ、タブレットからでもご確認頂けます。※会員限定 無料会員登録 詳細 | ログイン 2001年にADSL(非対称デジタル加入者線)サービス「ヤフー!BB」を引っさげて通信事業に参入したソフトバンク---。2006年3月にはボーダフォンから日本法人の買収を発表し、念願の携帯電話事業を手に入れた。10月にはボーダフォンをソフトバンクモバイルに社名変更し、併せて日本テレコムの社名もソフトバンクテレコムに変更。両社の社長には、グループの総帥である孫正義氏自身が就任した。 日本で第3の通信グループ「ソフトバンク」の誕生である。これを裏づけるかのように東京証券取引所のソフトバンクの所属業種が、2006年10月から「卸売業」から「情報・通信業」へと変更された。2006年のソフトバンクの動きは、当連載のベースとなった単行本『2010年、NT
前回は、ソフトバンクが自分より「大きな」ボーダフォンを買収して携帯電話市場に参入した取引について解説した。この一連の取引が、ノンリコース・ローンなどを用いて、基本的にはソフトバンク本体に過大な影響を及ぼさないスキームになっていると考えられることを述べた。 今回は、こうして手に入れたソフトバンクモバイル(旧ボーダフォン)が加わった日本の携帯電話市場で、どのような戦いが繰り広げられるのかを、財務的な観点から考えてみたい。 巨額の設備投資が必要な“巨人たち”の戦い 携帯電話ビジネスは、全国津々浦々に基地局のアンテナを敷設し、電波による通信という「物理層(情報通信において、実際に信号が伝わる物理的媒体)」を作り上げなければならない。すなわち、このビジネスモデルは、設備投資が非常に巨額になるというのが特徴である。 携帯電話ビジネスの規模感を、図1で見てみよう。各社の連結貸借対照表で「固定資産」が、主
2006年10月23日。携帯電話の番号を、キャリア(通信事業者)の垣根を越えて移行できる「ナンバーポータビリティ」(MNP:Mobile Number Portability)開始前日、ボーダフォンを買収して携帯電話市場に参入したソフトバンクが、大胆な割引サービス「予想外割」を発表した。ナンバーポータビリティ開始後最初の週末にあたる10月28日、29日には、顧客の殺到やソフトバンクのシステム障害により、受け付けが停止されるというトラブルも発生した。 ナンバーポータビリティの開始や、“予想外”な価格体系をひっさげたソフトバンクの参入は、日本の携帯電話市場が“最終戦争”の局面に入ったことを感じさせる。今回および次回の2回に分けて、この日本の携帯電話市場が今後、どのように展開していくのか、財務的な切り口から考えてみたい。 自分より「大きな」ボーダフォンを飲み込んだソフトバンク 2006年4月24
インターネットを使ったサービスやコンテンツといっても、PC向けのインターネット業界と携帯電話向けのモバイル業界では、その主要プレイヤーやビジネスモデルは大きく異なる。そこで、「インターネット業界は詳しいけれどもモバイル業界のことはよくわからない」という人に向けて、モバイル業界の現状を紹介していく。その第一弾として今回は、モバイルサービスやサイトの運営に欠かせなくなったモバイル広告の市場について、主要企業の動きを中心に見ていくこととする。 一般サイトがモバイル広告市場を牽引 まず、モバイル広告市場の全体的な状況を押さえておこう。モバイル広告として、これまで最も大きな存在だったのはメールを使った広告だ。ダイレクトメールのように、メールそのものが広告である場合と、メールマガジンなどに広告が掲載される場合の2種類がある。ユーザーが常に手元に持っている携帯電話に向けて、企業が情報をプッシュできるため
ソフトバンクの孫正義社長 ソフトバンクが英Vodafone Groupの日本法人(以下、ボーダフォン)を買収することが正式に決まった。「これで携帯電話事業に、早期に本格参入できる」(孫正義ソフトバンク社長)こととなった。ソフトバンクは今回、ヤフーと事業提携することも発表。「Yahoo!JAPAN」のコンテンツ、サービスの全面的な提供を受け、これらを大きな武器としてNTTドコモ・KDDIの先行2社の追撃を図る。そのほか、英Vodafone Groupと共同出資のベンチャーを設立することも検討していく方針だ。「ボーダフォン」ブランドは半年〜1年をめどに刷新される。 当初ソフトバンクは携帯電話事業への参入にあたり、基地局など通信基盤の整備を自前で整備する意向を示していた。後にボーダフォンの設備を借り受けるMVNO方式の模索を始め、結果的には既存事業者ボーダフォンの買収に帰結したわけだが、この買
ソフトバンクがボーダフォン日本法人を買収しましたが、買収後はボーダフォンブランドではなく、新ブランドで展開していくそうです。で、疑問に思ったのですが、新ブランドになったら、またメールアドレスのドメイン名は強制的に変更させられるのでしょうか? もしそうなると、潜在的にボーダフォンに不満を持っていたけどMNPではメールアドレスが変更できないのでキャリアは変更していなかった、というユーザーが「いい機会だから」と他キャリアに移るきっかけになってしまいます。これを防ぐためには 将来のサービス展開への期待感をユーザーに持たせる。 ドメイン強制変更時点で他キャリアよりも満足度の高いサービスを提供しておく。 のどちらかが要求されます。孫さんいわく、新ブランドのリリース時期は「今後半年から1年」で、サービスも半年後から出し始めるようなので、今後はまず、手っ取り早く低価格でユーザーをひきつけておいて、半年後か
3日の午後(日本時間深夜)、「ソフトバンクが、日本のボーダフォンを買収する方向で交渉中」というニュースが飛び込んできました。このニュースの一報は、日本にいる記者がキャッチしたものらしく、その後のイギリスでの報道は、日本で流れているものとほぼ同じ内容でした。 英ボーダフォンに関する最近のニュースでは、2月27日に、主にドイツの事業などに関連して230億-280億ポンド(4兆6000億-5兆6000億円)の損失を計上するというものがありました。しかし、これは、帳簿上の処理にかかわるもので、キャッシュ・フローには影響を与えません。「損失を計上し資金繰りに困ったために、日本事業売却へ」ということでは無いようです。 これまでにも英ボーダフォンに対して、アナリストから「海外事業を見直したらどうか」という意見が出されていましたが、それは日本ではなく、アメリカのベライゾン・ワイヤレス(英ボーダフォンが45
仕事に追われてRSSリーダーをじっくり眺められない日々が続いていたらこんなリリースが。週末のブロゴスフィアJapanはこのネタ一色といわんばかりの盛り上がり様。R30氏がこんなまとめをなさっているようなので、端末メーカーの端くれ兼,インターネットサービス業界の端くれとしてコメントしておきたい。 結論はタイトルの通り、安っすい投資で美味い汁を吸ってきたケータイコンテンツ屋がとってもツライ思いをするのではないか、と言うもの。 大筋のシナリオはR30氏の予想と非常に良く似ている。自社コンテンツへの相乗効果を期待しつつ携帯電話サービス、中でもデータ通信について破壊的な価格設定をしてくるだろう、と予想。 では詳細な部分について意見を述べて行こう。 収益構造が変わり,プレイヤーが変化する その際に誰がツライって、大小問わずケータイコンテンツ屋だと思うわけである。ケータイサービス、PCサービスどちらも企
ボーダフォンがとうとうチキンレースに音を上げたっぽい。で、身売り先はソフトバンクですか。 Vodafone、ソフトバンクへの日本法人売却交渉を認める(ITmedia) 英国の報道によると売却額は1兆円とのことだが、これってちょっと安すぎじゃね?一応日本全国をカバーしてるインフラを持つキャリアですよ?すごいディスカウントセールだな。呆然。 こんな端末の発表とかもして、ようやく日本市場に本気で合わせていこうっていう機運が出てきたところだっていうのに。あ、そうか、英国の本社の思惑にしたがって動かしたら結局どうにもこうにも赤字が止まらなくなって、結局本社の世界戦略に組み込むのを諦めたからこれが出てきたっていうことなのかしら。なんだかなあ。 一方、ソフトバンクとしては痛し痒しということなんだろうか。先月初めのITmediaのこちらの記事などを読むと、まずはMVNOでのアライアンスから手を付けようと思
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