明治41年発行の雑誌「日本及日本人」の臨時増刊として吉田松陰の特集が組まれており、そのなかに「松陰先生の令妹を訪ふ」と題して、松陰の妹・千代(当時77歳)に、生前の松陰についてインタビューした記事が掲載されています。松陰の人となりが伝わってくる、とても興味深い記事です。ここでは、「家族から見た吉田松陰」と題して、同雑誌のインタビュー記事の現代語訳を掲載します(一部割愛あり)。 【千代さんは「70余年前の昔が偲ばれ、私も子供の時に帰るようです」と言って、さも昔を懐かしむように話し出された】 『兄・松陰は、幼いころから「遊び」ということを知らないような子供でした。同じ年ごろの子供たちと一緒になって、凧をあげるとか、コマを回すとか、遊びに夢中になったことなどはまったくなく、いつも、机に向かって漢籍を読んでいるか、筆を執っているかで、それ以外の姿は、あまり思い浮かびません。運動とか、散歩とかはして