タグ

ブックマーク / cruel.org (10)

  • ダイアモンド『銃、病原菌、鉄』2005年版追加章について

    ダイアモンド『銃、病原菌、鉄』2005年版追加章について 山形浩生 草思社の倒産で一時はどうなるかと思った『銃、病原菌、鉄』邦訳だが、無事に復活して文庫にもなって、まずはめでたい。おもしろいだし非常に含蓄があるので、これが入手困難になるのは大変痛かったもので。 しかし、アマゾンのレビューを見ていると、変な記述に出くわした。これだ: 翻訳されていない一節 (Tsiroeht Emag) 訳されなかった章がある? そんなバカな。草思社が(愚かにも)参考文献をカットしたのに怒ってみんなで訳したときに、原書はちゃんと見ているがそんな章はなかったぞ。(なお、草思社も知恵をつけて、その後参考文献をウェブで公開したうえ、文庫版にはちゃんと載せているのでご安心を。)それも日人に関する章で人間宣言がどうしたこうした? そんな最近の話を扱っているわけもないと思って、コメントにもそう書いたんだが…… 調べて

  • 『はだかの王様の経済学』は戦慄すべき本である

    研修資料の余白に:『はだかの王様の経済学』は戦慄すべきである (2008/06/16, 17 日に 注 等細かい加筆, 22日にコメントなど加筆。) 山形浩生 要約:松尾『はだかの王様の経済学』は、解説されている疎外論がひがみ屋の責任転嫁論でしかないうえ、それを根拠づける「来の姿」だの「実感」だのがあまりに恣意的で確認しようがなく、まったく使えない。そして「みんなで決め」ればすべてうまく行くというお花畑な発想は悪質なニュースピークによる詐欺であるばかりか、最後にはポル・ポトまがいの抑圧思想に直結していて戦慄させられる。 目次 序 「設備投資」は「コントロールできない」か? 疎外とはひがみ屋の天国である。 「来の姿」ってだれが決めるの? 市場を超える「話し合い」って? 「みんな」で決めればだれも不満はない? おわりに 稿への反応など 蛇足コメント 1. 序 松尾筺『はだかの王様の経済

  • 「エコノミスト」より:まちがった預言者マルサス

    (The Economist Vol 387, No. 8580 (2008/5/17-23) p.87, "Economics focus: Malthus, the false prophet") トマス・マルサス 山形浩生訳 (hiyori13@alum.mit.edu) 悲観的な司祭にして初期の政治経済学者だったマルサスは、いまも昔もまちがっている。 料価格の驚くほどの高騰は、多くの国で暴動や不穏を生み出し、アメリカやヨーロッパの比較的裕福な人々ですらその影響を身をもって感じるようになっている。おかげで、グローバル市場が世界 70 億人の腹を満たせるという信頼は揺らぎ始めている。慢性的な不足の時代が始まったのではないかという恐れが生じた結果として、トマス・マルサスの名前が再び出回るようになってきた。でもかれの見方がいまになって当てはまるようになったとしたら、それは過去二世紀の経験

    sea_side
    sea_side 2008/05/25
    >>スローライフとか有機とか地産地消とかは、豊かだからできるぜいたくなんだから<< 
  • IMF: 緊縮財政オマエモナー

    (The Economist Vol 381, No. 8504 (2008/2/9), "It's Mostly Firing") IMF 拠 山形浩生訳 (hiyori13@alum.mit.edu) 緊縮財政の旗手、自らを緊縮できますかどうか。 昔からの嫌味によれば、国際通貨基金の頭文字IMFは、「It's Mostly Fiscal」つまり「おおむね財政ばっか」の略だとされる。古来 IMF は経済危機に陥った国々に、意地が悪いほどに手厳しい緊縮財政を強いることで定評があるからだ。この戯画化によれば、問題が何であれ、ワシントン 19 番街の高給取り官僚たちは支出削減を要求するのだ、とか。 だがこの戯画化は改訂が必要かもしれない。IMF はいきなり財政刺激策のファンと化した。その新しい親分ドミニク・ストラウス=カーン――もとフランス財務大臣――は、世界恐慌の危機に対抗すべく、財政刺激

  • やっぱり貧乏人は合理的でないのかもしれないよ。

    (The Economist Vol 383, No. 8526 (2007/04/28), "Economic Focus: Another day, another $1.08," p. 90) 貧乏人は減りつつあるし、その貧乏にでさえ選択の余地はある――最善の選択をするとは限らないかもしれないけれど。 今月、世界銀行は、一日一ドル以下で暮らす人の数が 2004 年には 9.86 億人だったと発表した――これはそうしたひどい状態で暮らす人の数が 10 億人を下回った初めての年となる。世界銀行の極度な貧困の定義は、明快で単純で、dollar a day と d の続く頭韻にさえなっている。Journal of Economic Perspectives最新号で、マサチューセッツ工科大のアブジット・バナジーとエスター・デュフロは、これをレトリック的な名作と呼んでいる。だがこれはそんなにいい

    sea_side
    sea_side 2007/05/20
    「1日1ドル」の1ドルって、実際は何ドルなのか、気になってたんだけど、ここに1.53ドルとかあるけどこれでいいのかしら。
  • P. Krugman "Japan's Trap" Japanese:日本がはまった罠 (クルーグマンのホームページで 1998.05 初公開) ポール・クルーグマン 山形浩生訳

    がはまった罠 (Japan's Trap: クルーグマンのホームページで 1998.05 初公開) ポール・クルーグマン 山形浩生訳 日の経済的な重病は、だれよりもなによりも日自身にとっての大問題だ。でも、ほかの人たちにも、これは問題となる。機関車役を死ぬほど求めてる苦境のアジア経済にとっても、日の貿易黒字のおかげで仕事がやりにくくなってる西側の自由貿易支持者にとっても。そして最後に(いちばんどうでもいいけど、でも無視できる存在じゃあない)経済学者たちにとっても、日は問題なんだ。なぜなら、こんなことは起きないはずなんだもの。 ときどき象牙の塔から出てくるマクロ経済学者の多くと同じく、ぼくも実際のビジネスサイクルはリアル・ビジネスサイクルじゃないと思ってるし、一部の(いやほとんどの)不況は、全体としての総需要が落ち込むせいで起こるんだと思ってる。ぼくをふくめほとんどの学者は、こう

  • 「買い物かごで投票?」 よりフェアトレードの部分を抜粋

    (The Economist Vol 381, No. 8507 (2006/12/09), "Voting with your trolley" p. 69) 山形浩生訳 (hiyori13@alum.mit.edu) フェアトレード製品は問題を悪化させるし、まずいし、そもそも来の目的を果たしていない。 (有機品の部分は割愛) じゃあフェアトレードはどうだろう。「フェアトレード」商標ラベルを認証発行する FLO インターナショナル (Fairtrade Labelling Organizations International) のウェブサイトによれば「伝統的な市場がどんなに不公正なときでも」生産者が公正な価格を受け取れるように保証することで「低価格の不正」を是正するのがフェアトレードの狙いだ。これは要するに、ある一定の労働と生産基準さえ満たせば、市場価格より高い「フェアトレード」価

    sea_side
    sea_side 2006/12/16
    フェアトレードの問題点。
  • スターバックス VS エチオピア

    (The Economist Vol 381, No. 8506 (2006/12/02), "Storm in a Coffee Cuo" pp. 72-3) Photo by ShelbieMyLove 山形浩生訳 (hiyori13@alum.mit.edu) スターバックスは、エチオピアのコーヒー豆商標をめぐって交戦中なのだ。 コーヒー好きの人々は、しだいに朝のグランデ・スキニー・ラテを苦い社会的不正の追加ショットなしで飲みたいと思うようになっている。大成功をおさめている「フェアトレード」ブランドは、コーヒー中毒者たちに良心の呵責なくコーヒーを飲めるようにしてくれる。このコーヒーを作る中で、収奪された農民はいないのだと思えるからだ。コーヒーは、倫理的消費者かどうかを計る試験場となっている。世界的コーヒーチェーンのスターバックスとしても、社会的責任ある企業を誇る以上、開発慈善団体オッ

    sea_side
    sea_side 2006/12/16
    スターバックスと発展途上国の関係
  • 倫理的な食べ物はかえって有害かもしれない。

    倫理的なべ物はかえって有害かもしれない。 (The Economist Vol 381, No. 8507 (2006/12/09), "Good Food?" p. 10) 山形浩生訳 (hiyori13@alum.mit.edu) 賢いお買い物で世界がよくなると思ったら大間違い。かえって悪くするかもしれませんぞ。 「政府が動くのを待つ必要はありません……フェアトレードがすばらしいのは、買い物できるということです!」とフェアトレード運動の代表者が今年、イギリスの新聞で語っていた。同じように、ニューヨーク大学の栄養学者マリオン・ネッスルは「有機品を選ぶということは、農薬の少ない、土壌の豊かな、水のきれいな地球に投票すると言うことなのです」と論じている。 買い物こそが新しい政治だという発想は、確かに魅力的だ。投票箱なんかどうでもいい。買い物かごで投票しようというわけだ。選挙はあまり頻繁に

    sea_side
    sea_side 2006/12/16
    この世の99%は間違っていると思わされる。
  • 論座 2006/08 Book Review

    『ヤバい経済学』:お金だけが大切じゃないことを、説教としてではなく理論的に解明しようとする経済学の新潮流 レヴィット、ダブナー『ヤバい経済学』(東洋経済新報社, 2006) (『論座』2006 年 8 月号) 山形浩生 要約: 『ヤバイ経済学』は、経済学お金だけを扱うものではないことをはっきり示し、その方向性を次々に打ち出している実に楽しくも有意義な一冊だ。でも日のタコツボ経済学の世界はそれをきちんと評価できない。「お金ばかりを重視してはいけない」と年寄りの説教は大好きなくせに、ではお金以外をどうやって学問として考えようかについてまったく考えていない。書はそれをやっているのが偉大なところである。 書は刊行されてからすでにかなりの時間がたっている。ぼくは原書で読んで狂喜したし、すでに版権が取られていて自分では訳せないことを知って不安になったが(だってこんな楽しいが、どんよりした学者

  • 1