欧州連合(EU)残留か離脱かを問う英国民投票。緊迫ムードの中で開票状況が刻々と伝えられた6月24日の東京株式市場は、朝方買い先行で始まった。人工知能(AI)で事前に相場を予測するファンドの運用責任者、野村至紀氏(43)は売り持ちポジションを取っていたため、同僚から「大丈夫か」と声を掛けられた。泣きそうな顔をして「どうしようか」と思ったという。 しかし、次第にEU離脱票の優勢が伝えられ始めると、相場は午前10時ごろから下落に転じ、予想外の離脱決定が報じられた午後は下げ幅が大きく拡大した。AIの相場予想は当たり、東証株価指数(TOPIX)は7.3%急落。この日だけで3.43%のリターンを確保した。「この相場は人間では無理。だいたいコンピューターの方が正しかったりする」と言う。 運用会社シンプレクス・アセット・マネジメントがAIでTOPIX先物を予測して運用するファンドは、ショックに強いのが特徴