子供の頃に熱中したスポーツは、人格形成に大きな影響を与えているのではないか。集団競技か、個人競技か。ポジション、プレースタイル、ライバルの有無……。ノンフィクション作家の田崎健太氏は、そんな仮説を立て、「SID(スポーツ・アイデンティティ)」という概念を提唱している。この連載では田崎氏の豊富な取材経験から、SIDの存在を考察していく。第1回は「野球の投手」について――。 成功する投手は「わがまま、自分中心、楽天的」 『球童 伊良部秀輝伝』(講談社)では、故・金田正一、やはり故人となった彼の弟である金田留広、八木沢荘八、オリオンズ時代の同僚である牛島和彦、小宮山悟、前田幸長、メジャーリーグ時代に同じ球団に所属した、吉井理人などの元投手に取材している。その後に上梓した『ドライチ』『ドラガイ』『ドラヨン』(いずれもカンゼン)では、大野豊を初めとした元投手に話を聞いた。 ある程度以上の結果を残した