長い歴史を持ち「枯れた」技術ともいわれる鉛蓄電池に進化の余地が残っていた。古河電気工業と古河電池が共同開発したと発表した「バイポーラ(双極性)型」の鉛蓄電池だ。再生可能エネルギーで発電した電力を蓄える定置用蓄電池の用途で、リチウムイオン電池をしのぐ性能を実現する可能性を秘める。「バイポーラ型の鉛蓄電池は夢の電池だ。2018年にリチウムイオン電池には冷却に大量の電気を使うという課題があることが分
再エネ用蓄電池の本命か? リチウム電池を超える新型鉛電池が量産実用化へ:蓄電・発電機器(1/2 ページ) 古河電気工業と古河電池が、実用化が困難とされてきた次世代型蓄電池「バイポーラ型蓄電池」の開発に成功。現在主流のリチウムイオン電池より低コストで安全性に優れる蓄電池として、再エネの出力変動対策など向けに量産実用化する。 古河電気工業と古河電池は2020年6月9日、実用化が困難とされてきた次世代型蓄電池「バイポーラ型蓄電池」を開発したと発表した。現在主流のリチウムイオン電池と比較し、トータルコストを約半分にできるとしており、まずは電力系統向けの定置用蓄電池など向けに商品化する。2021年度中にサンプル出荷、2022年度から製品出荷を開始する計画だ。 バイポーラ型蓄電池とは、1枚の電極基板の表と裏に、それぞれ正極と負極を持つというシンプルな構造が特徴の蓄電池。バイポーラ型という構造自体は古く
3時間にわたる説明会では、ベールをかぶせた次世代EVのイラストを示すにとどめた。複数のモデルを準備していることだけは分かった。説明終了後の質疑応答は30分ほど続いたが、具体像は見えなかった。同社CEO(最高経営責任者)のElon Musk(イーロン・マスク)氏は「正式な製品イベントは今後開催する」と明言を避けた。 2030年までに年間2000万台ものEVを生産するためには、低価格なEVの投入は欠かせない。「1000万台クラブ」のトヨタ自動車やドイツVolkswagen(フォルクスワーゲン)を飛び越えるための必須条件だ。テスラが掲げるミッション「世界の持続可能エネルギーへのシフトを加速すること」を達成する上でも、次世代EVが重要な役割を担うのは言うまでもない。 3時間半の長丁場となった説明会は、すっきりとしない後味で終わった。それでも、発表内容を冷静に見ると、テスラの革新を予感させるには十分
Can grid storage batteries save Japan's power supply crisis? 太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーの多くは、自然条件に左右される。化石燃料のように必要に応じて発電できるわけではないため、電力の安定供給には今後、蓄電システムの重要性が増してくる。世界の潮流が脱炭素へと向かう中、日本の蓄電池の現状を整理していく。 by Keiichi Motohashi2022.06.15 5 11 2022年3月22日、経済産業省は東京エリアと東北エリアに電力需給ひっ迫警報を初めて発令した。さまざまな要因が重なり、電力需要が供給を上回る可能性が予想されたためだ。直接的な要因は、3月16日に発生した福島沖地震の影響などで火力発電が停止していたことに加え、3月22日の天候が厳しい寒さとなったことによる。当日は東京でも雪が降るといった状況で、3月
全樹脂電池を開発するAPBは3月27日、サウジアラビア国営石油会社であるSaudi Arabian Oil Company(Saudi Aramco、サウジアラムコ)との協業に向けて業務提携すると発表した。APBは海外企業などとの協業を進め、難航していた全樹脂電池の量産を「2026年度からの大規模量産化」として再始動したいとする。「まずは150億円の資金調達を実施し、高速量産に向ける」とAPB 取締役副社長 兼 TRIPLE-1(トリプルワン、福岡市) 取締役副社長の大島麿礼氏は意気込む。 全樹脂電池は、電極を含めてほぼすべてを樹脂で形成するLi(リチウム)イオン2次電池(LIB)の一種。APBが掲げる同電池の従来のLIBと比べた利点は主に3つ。(1)高い安全性(2)低価格(3)高エネルギー密度――である。再生可能エネルギー向けの定置用蓄電池などで需要を見込むという。 APB/トリプルワン
リチウムイオン電池の技術開発では世界に先行した日本であるが、市場は中国・韓国勢の後塵を拝している。この現状を打破するために蓄電池の産業戦略は重要である。以前に、半導体や太陽光パネルがたどった経緯と良く似ている。何故、日本は技術開発で先行しても、先行者利益が得られないのか? 国内蓄電池メーカーの投資意欲が高まるのは確実な国内市場の拡大が基本であり、蓄電池ユーザーの購買意欲が高まるのは高性能・低コスト化である。未だに、この機軸が見えてこない。 蓄電池と自動車メーカーの提携 現在、多くの自動車メーカーは電池技術の蓄積はなく、電気自動車(BEV)を商品化するにあたり蓄電池メーカーに大きく依存している。そのため蓄電池を安定的に大量調達するため、電池メーカーへの出資や、合弁会社を立ち上げるなどの様々な提携を進めている。 BEVに搭載される蓄電池容量は50~100kWhと、HEVの1kWh、PHEVの1
米エネルギー省(DOE)は、2023年11月28日、カリフォルニア州ソルトン湖地域に豊富なリチウム資源が存在するという、DOE所管のローレンス・バークレー国立研究所が実施した分析の結果を発表した。 分析結果によると、ソルトン湖地域の総埋蔵資源量は3400キロトン以上のリチウムを生産できる可能性があり、その量は電気自動車(EV)用バッテリー3億7500万台分以上に相当し、アメリカ国内を走行する自動車の総台数を上回るという。 この分析によって、2050年までにネット・ゼロ・エミッション経済を実現するというバイデン米大統領の目標に不可欠な、定置用蓄電池とEV用バッテリーに使用される重要な鉱物のアメリカ国内供給源として、この地域が大きな可能性を秘めていることが確認された。 アメリカは、国産リチウムを抽出、精製、生産する能力が限られており、アメリカが必要とするリチウムのほぼすべてを輸入しなければなら
GX実行会議にオンラインで参加し、あいさつする岸田首相(画面)=8月24日、首相官邸岸田首相が活用を明言岸田文雄首相は8月24日の「GX(グリーントランスフォーメーション)実行会議」で、次世代原発の開発・建設の検討などを指示した。首相は「今後の危機ケースを念頭に、足元の危機克服とGX推進を両立させていかなければならない」として、再生可能エネルギーと原子力を共に「GXを進める上で不可欠な脱炭素エネルギー」と明確に位置付けた。 系統整備や定置用蓄電池の普及により再エネ導入を加速し、原子力については運転期間延長等により既設原発を最大限活用する。そして新たな安全メカニズムを組み込んだ次世代革新炉の開発・建設の検討などを求めた。
京セラが2025年をめどに、電気自動車(EV)駆動用蓄電池市場への参入を検討していることが明らかになった。住宅定置用電池として開発したクレイ型リチウムイオン蓄電池を車載にも展開。併せて25年ごろまでに外部生産委託を活用して生産容量を倍増し、量産効果などで製造コストを低減する。同社は29年3月期に21年3月期比約2倍の連結売上高3兆円を目指しており、車載電池は成長をけん引する中核事業の一つになりそうだ。 京セラは20年に世界初のクレイ型電池の生産を開始し、自社ブランドの住宅定置用電池として商品化。21年から滋賀野洲工場(滋賀県野洲市)内に設けたスマートファクトリーで、生産容量年200メガワット時の稼働を開始しており、現在「フルキャパシティーの年2万台には届かないが、販売のフェーズに移る程度の台数になってきた。引き合いは結構ある」(谷本秀夫社長)と、まずは住宅向け定置用蓄電池としての実績作りの
中国CATL(寧徳時代新能源科技)は2023年4月16日23時15分(現地時間)、同社のナトリウムイオン2次電池(NIB)が、中国の自動車メーカーChery Automobile(奇瑞汽車)の電気自動車(EV)に採用されたとツイッターで公表した(図)。NIBが量産車に搭載されるという発表は世界で初めて。今後、多数のEVや定置用蓄電池などにNIBが使われる見込みで、これまでリチウムイオン2次電池(LIB)が担ってきた大容量蓄電池の市場の一角をNIBが占めることになりそうだ。 現時点では、奇瑞汽車のEVの車種や発売時期、NIBの搭載容量などは未公表。CATLは2021年のNIBの開発発表時に、EVへはLIBとNIBのセルを組み合わせたハイブリッド型の電池パックを使うとしていたが、今回の電池パックがそれに当てはまるのかも明らかにしていない。 奇瑞汽車は1997年に、安徽省と同省蕪湖市政府が出資し
「系統用蓄電池」の導入が急増する北海道、大量導入における新たな課題が顕在化:蓄電・発電機器(1/4 ページ) 出力が変動する再生可能エネルギーの導入拡大への対応として、電力系統に蓄電池を導入する動きが進んでいる。北海道では系統用蓄電池の導入申請が急増。一方で系統混雑などの懸念が生まれていることが明らかとなり、今後の対策が検討されている。 変動再エネ電源の大量導入に向けて、電力系統の需給バランス維持や調整力の提供の観点から、幅広い蓄電池の活用が期待されている。 定置用蓄電池には、再エネ電源併設型や需要地点併設型などがあるが、系統に単独で直接接続する蓄電システムは「系統用蓄電池」と呼ばれる。 北海道エリアではこの系統用蓄電池が急増しており、系統混雑の発生が懸念されていることが、第41回「系統ワーキンググループ(WG)」で報告された。 系統用蓄電池の導入に関する制度の概要 従来、大規模な蓄電池が
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