理化学研究所の寺尾知可史チームリーダーらは3000人以上の日本人のゲノム(全遺伝情報)データを解析し、日本人の祖先には大きく3つの系統が関わっているとの研究成果をまとめた。日本人の祖先は縄文人と弥生人の大きく2系統としてきた定説の修正につながる可能性がある。研究チームは、東京大学や理研が運営する日本人の遺伝情報のデータベース「バイオバンク・ジャパン」を使って、北海道から沖縄までの全国7地域から
映画化もされた松本清張の推理小説「砂の器」では方言がトリックに使われた。犯行現場近くのバーで被害者と若い男が東北弁で地名を話すのを聞いたという証言から捜査員が東北に飛ぶ。だが、被害者の出身地は中国地方だった▲「出雲は越後並びに東北地方と同じようにズーズー弁が使われている」。専門書の記述や東北と出雲地方の一部が同じ色に塗られた「日本方言地図」から捜査員は2人が使ったのは出雲弁と判断する▲ズーズー弁が古代の音韻で、京都などの言葉が広まった後も東北や出雲に残された。そんな仮説もあるらしい。言葉の成り立ちは複雑で検証は難しい。だが、最新科学で新たな発見があるかもしれない▲理化学研究所などのチームが進める現代日本人のゲノム(全遺伝情報)分析だ。最近、日本人の祖先が縄文系、関西系、東北系の3系統に分かれる可能性が高いという研究成果が発表された▲沖縄には縄文系が多く、縄文人との親和性が最も高い。一方、関
新型肺炎で感染症への関心が高まっている。『感染症の世界史』(角川ソフィア文庫)は人類が感染症と戦ってきた歴史を振り返ったものだ。 新型肺炎は新型コロナウイルスの感染によるものとされ、「COVID-19」と名づけられた。本書は40億年の地球環境史の視点から、人類と対峙し続ける感染症の正体を探る。 マラリア4回、コレラ、デング熱・・・ 著者の石弘之さんは1940年生まれ。東京大学を卒業後に朝日新聞で科学部や外報部の記者、アフリカやアメリカの特派員を経て退社。国連環境計画(UNEP=本部ナイロビ)上級顧問や東京大学大学院教授、ザンビア特命全権大使、北海道大学大学院教授、東京農業大学教授を歴任。この間、国際協力事業団参与、東中欧環境センター理事(ブダペスト)などを兼務し、国連ボーマ賞、国連グローバル500賞、毎日出版文化賞をそれぞれ受賞している。 この経歴からもわかるように、新聞記者として様々な現
まえがき この記事では、筑波大学名誉教授の中川八洋氏の著書『侵入異民族アイヌの本当の歴史』に対する反論を行っています。残念ながら、現在までに所謂「アイヌ民族否定論」を唱えた本は何冊か出版されていますが、この本の特筆すべき点は、筑波大学名誉教授という肩書を持つ人物が執筆しているということでしょう。恐らく、これまでに出版されたアイヌ民族否定論の本の中では、一番社会的地位の高い人物が執筆した本になると思います。 そして、この本はヒカルランドというトンデモ系出版社から刊行されていることも、もうひとつの特筆すべき点でしょう。たとえ筑波大学名誉教授という社会的地位を持つ人物であっても、ヒカルランドのようなところから本を出版してしまうのは(ヘッダーの本は全てヒカルランド)、自分の社会的地位を安売りしているように見えてしまうのですが、どうなのでしょうか。 この記事では、アイヌ民族が著者の主張する「侵入異民
この記事は、YouTubeで公開する予定の同名の動画を書き起こしたものになります。本文は約24000文字程度あります。また、この記事の内容はあくまでトイヌプリの個人的な見解です。 ※動画はまだ制作中ですが、それとは別に短い動画を公開しました。こちら ① 擦文時代とは何か?ずんだもん:ずんだもんなのだ。今回は古代の北海道の歴史について解説するのだ。 北海道(いらすとや)四国めたん:飛鳥時代から平安時代に並行する北海道には、擦文時代って呼ばれている時代区分があるわよね。 ずんだもん:擦文土器を使っていた時代と文化が擦文時代・擦文文化と定義されているのだ(横山 1990)。擦文土器の成り立ちについては後で解説するけど、土器で時代を区別するのはちょっと古い考え方なのだ。昔は縄文時代と弥生時代も土器で区別していたけど、今は水田稲作が弥生時代の指標になっているのだ(藤尾 2015)。中世アイヌ文化期に
第3の遺伝的要素である「古墳人」 そもそも、これまで古代の日本人には縄文人と、弥生人の2つの系統がおり、彼らの混血が現在日本人の祖先になったとする、「2重構造モデル」が有力視されてきたという。 縄文人は今から1万6000年前から3000年前まで、狩猟や採集によって暮らしていたとされ、弥生人はアジア大陸から日本へ渡り、紀元前900年(2900年前)から紀元後300年(1700年前)に稲作を行ってきたと言われている。 しかし今回、DNAを使った新たな研究が行われ、現代日本人に縄文人と弥生人の遺伝的特徴があるのに加え、紀元後300年から700年にかけて日本に文化を広めた「古墳人」に関連する第3の遺伝的要素が加わっていることも明らかになった。 12体の骨からDNAを抽出 この研究を行ったのはアイルランドにある、トリニティ・カレッジ・ダブリン医学部精神科のShigeki Nakagome助教授や、日
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