ヨーロッパの辺境の民族統一主義 前編では、ドイツ、ハンガリー、クロアチア、セルビア、ルーマニアの民族統一主義を見ていきました。前編はこちらをどうぞ。 今回は同じヨーロッパで、ブルガリア、アルバニア、フィンランド、オランダ、ポルトガルです。領土拡張主義にどのような民族的文脈があるかという観点でご覧になっていただければ幸いです。 6. 大ブルガリア 列強の干渉によって消えた幻の領土の回復 大ブルガリアの起源は「三つの海のブルガリア( България на три морета)」と言われた第一次ブルガリア帝国(681年~1018年)にあります。 第一次ブルガリア帝国はクルム一世の時代に最盛期を迎え、その領土は現在のブルガリア、ルーマニア東部、ギリシャとマケドニアの一部の広大な領土を支配下に置きました。黒海、エーゲ海、アドリア海の三つの海に面していたわけです。 しかしキエフ・ルーシのスヴャトス