祖母は冬が来る前に、決まってしている作業がありました。 漬物を漬けたり、鰊や鰯を大量にさばいたり。 雪が降りそうになると、ジャガイモなどを土に半分埋まるようにして、その上に稲藁を被せたりしてもいましたね。 猫が祖母にすり寄り続ける時季でもありました。 僕も、祖母を手伝うでもなく、猫と同じように祖母の周りで遊んでいました。 大量の魚が紐に吊るされている間は、家の周りが魚臭くなっていましたね。 お正月、自家製の数の子は、よく食べていました。 しょっぱくて、ちょっとニシンの油が煙臭いような感じもして。 それでも大好きでした。 今でも正月には食べたくなります。 【沙河】昭和四〇年~昭和五〇年 (八)② 冬になる前に、鰊や鰯を木箱でいくつも買い、それを祖母が捌いて乾していた。 乾した魚は冬の間の食糧となった。鰊の漁獲高は終戦後に激減していたが、北海道では鰊は安価で入手が容易な魚だった。 納屋と鶏小屋