自動車メーカーで働く非正規従業員(派遣社員と期間従業員)の削減幅が、金融危機が始まった9月以降で1万人を超える見通しになった。世界経済の減速やガソリン高などの影響でメーカー各社は大幅な減産を迫られており、生産現場に人員の余剰感が広がっている。自動車は部品メーカーをはじめ産業の「すそ野」が広いだけに、リストラによる失業率の悪化で国内消費の減退につながる悪循環が懸念される。 「こんな極端な変動は、(世界恐慌のあった)1929年以降、数十年間は見られなかった」 日産自動車のカルロス・ゴーン社長は、米国をはじめとする自動車市場の大失速に肩を落とす。日産は欧米向け車種の落ち込みが激しく、輸出の急減がそのまま国内の生産現場に打撃を与える。同社は12月から九州工場(福岡県苅田町)と栃木工場(栃木県上三川町)で減産を強化。その影響で、全国の工場に約2000人いる派遣社員を約500人体制にする。