総長の仕事は猛獣使いである―京大総長に就任して 大学はジャングル、WINDOWを新たな指針に 山極寿一 京都大学総長、ゴリラ研究者 「大学はジャングル」と見つけたり この10月から京都大学の総長として働いている。立候補したわけではなく、学内の教職員の意向投票によって候補に選ばれ、学外委員を含む選考会議によって推挙された。寝耳に水の出来事と言っていい。それまで私はアフリカの熱帯雨林でゴリラを追跡し、類人猿の視点から人間社会の由来を探るという研究を行ってきた。理学研究科長を2年間務めたことはあるが、大学運営はずぶの素人である。だから、ある新聞はこの人事を「現場で汗水流して働いていた技術者を突然社長の椅子に座らせたようなもの」と報じた。確かにその通りだと私も思う。 しかし、この2か月新しい執行部を率いて大学経営の現場を歩いてみると、何とかやれそうだという気持ちになってきた。それは大学がアフリカの