完全な静寂は本当に耐えがたいのか確かめるべく、コペンハーゲン北部にある、デンマーク工科大学 (Denmark’s Technical University)の無響室へ向かった。 大学に着くと、技術助手のヨルゲン・ラスムセン(Jørgen Rasmussen)が、無響室に案内してくれた。彼は、取材中ずっと案内を務めてくれた。中に入ると、何もないという感覚、そして完全な静寂に圧倒された。まるで耳に大量の綿を詰め込んだかのようだ。手を叩いても、音はすぐにかき消され、何か話そうとしても、言葉は口から出た瞬間に、壁や天井、床のパッドに吸い込まれてしまう。 縦横に張り巡らされた柔らかなパッドは、あらゆる音の反響を防ぐ。見たこともない部屋だった。私は方向感覚を失い、金網張りの柔らかい床に立つと、宙に浮いているように感じた。 99.9%の雑音を除去するという部屋. 筆者撮影 午後1時、ヨルゲンはパッド入り