<走れ!夏!!> 二人の息がぴったりあうタイミングは滅多にない。 一秒も無駄にはできなかった。 やる気に満ち溢れていたとしても、そこはまだ11歳だ。 娘は、大人びた子どもではなく、 自己管理が素晴らしくできるタイプでもない。 何より、このやる気がいつまで続くかもわからないことが、恐怖でしかない。 小5になって何度も悩まされた、 爆弾の様に、突然やってくる、やる気スイッチの故障。 その地雷がどこにあるのか、まだ見極められていなかった。 折角入ったやる気スイッチがオフにならないよう、慎重にスケジュールを立てていく。 まずは、帰宅後の娘にやりたいものは何か、聞くことにしていた。 娘は帰宅後が一番嬉しそうだ。 意気揚々と、塾リュックから今日のテストや宿題ノート、 そしてH先生にもらったプリントを取り出す。 「見て!今日もH先生にプリントくださいって言ったの!」娘が言う。 「待っている間に、Y先生と