昨日の続き。 パドックで見る限り、カリカリしているのはむしろウオッカの方だった。フサイチホウオーは、あくびをしたり、ぼんやりと遠くを眺めたりと、リラックスを通り越してむしろやる気を疑われかねないような仕草を繰り返している。一方のウオッカは盛んに首を上下させ、引き手を困らせているようにも見えた。 しかし、帰宅してからあらためてパドックで撮ったウオッカの写真を見てみると、その瞳の奥には、狂気と言うよりは魂の発露が現れているような、そんな”ゆらぎ”のようなものが見て取れた。こういうことはたまにある。現場で分かることもあるし、あとで気付くこともある。「現場でこれに気付いていれば馬券を買えたのに」とは言わないが、パドックという場所はそういうものを見定めるものなのかもしれない。 そんな2頭の姿が一転し、なおかつ明暗が分かれたのが発走前の集合合図がかかった時。悠然と歩を進めるウオッカとは対照的に、フサイ